2023年は宮田莉朋にとって大きく飛躍する年となった。国内最高峰のカテゴリーである全日本スーパーフォーミュラ選手権とSUPER GTを制し、史上最年少での2冠を達成。そして2024年にはF1直下のカテゴリーであるFIA F2選手権とELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズへ参戦、さらにTGR WECチームリザーブドライバーに就任することが発表された。「海外志向」の24歳が自らの力を証明し、チャンスを掴んだ昨シーズン。その活躍を振り返る。

ELMS参戦とWECリザーブドライバー就任、そして・・・

宮田が11月5日にSUPER GTを制し、ダブルタイトルを決めた約2週間後、宮田の来シーズンの活動内容が明かされた。その中で、FIA F2への参戦が報じられた。

画像: 僚友の坪井翔とともにSUPER GT 2023年シーズンを制した。

僚友の坪井翔とともにSUPER GT 2023年シーズンを制した。

宮田にとって世界を目指すとなると、WECが現実的な目標になる。2009年を最後にF1への参戦をやめているトヨタのドライバーである宮田が、F1直下のカテゴリーへ参戦することを予想できた人は限りなく少ないはずだ。

実は宮田にとってもこの決定は驚きのものだったようで、F2参戦の話が持ち上がったのは2冠を達成したわずか1週間後、正式発表の1週間前だったことからも急速に話が動き出したことを窺い知ることができる。

今年の9月末に行われたF1日本GP期間中、トヨタ所属でTOYOTA GAZOO RacingからWECにレギュラー参戦している平川亮が、マクラーレンのリザーブドライバーに就任したことが発表された。一部で「トヨタ系のドライバーはF1に乗ることができない・・・」と言われていたなかでのこの発表は、驚きを持って報じられ話題となった。

カテゴリーへの適応とチームとの関係性が課題

マクラーレンからのオファーを豊田章男氏がモリゾー(ドライバー)として後押しした形だが、トヨタ系でもF1を目指すことができるかもしれないと思わせてくれるニュースでもあることから、宮田にとっても嬉しい発表だったようだ。

しかし、宮田のオファーに関しても来季所属することが決まったローディン・カーリンからの提案により実現した話。前述の流れとは関係なく、宮田自身がダブルタイトルを獲得したからこそ開けた道なのだ。

とはいえ、思わぬ形で世界へのチャレンジが決まった宮田。3日間行われたF2のシーズンオフテストでは初めてづくしのF2マシンに馴れるべくロングランをメインに走り込んだ。

来季活躍できるかどうかは、F2というカテゴリーへの適応とチームを味方にできるかどうかにかかってくる。

チームメイトはデビューイヤーながら印象的な走りを見せたゼイン・マローニ。すでにチームとの信頼関係が構築されているマローニがチームメイトなだけに、宮田は走ることだけでなくチームとの関係構築にも取り組まなければならない。

また、F2ではすぐに結果が求められ、何年も留まっていると評価が下がってしまう厳しいカテゴリーでもある。宮田はしっかり課題をこなして着実にステップアップを果たしてきたタイプ。なんとか2年目を確保するためには、初年度とはいえある程度の結果が必要になるだろう。

日本のトップが世界に行くという流れがなくなってからかなりの年月が経ってしまったが、久しぶりに日本のチャンピオンが世界に挑戦する。最年少ダブルチャンピオン、宮田莉朋がどのようなパフォーマンスを見せてくれるかに注目したい。

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