もっと気軽に使える、空のモビリティを目指して
「空飛ぶクルマ」というと、ちょっとSFチックなものに思えるかもしれません。けれど、リアルな次世代交通のひとつとしてすでに、世界各国で実用化に向けた取り組みが進められている「都市型モビリティ」です。
正式名称は「eVtol(イーブイトール:Electric Vertical Take-off and Landing=電動垂直離着陸機)」。最大の特徴は、垂直方向の昇降に加えホバリングや水平移動が可能なので、離着陸に滑走路を必要としないことです。ある程度のスペースと法的認可があれば、きわめて機動的な移動の手段となりえます。
形状としては飛行機タイプもありますが、人や物が収まるキャビンユニットを中心にプロペラやローターを配置した、巨大なドローンをイメージするのがわかりやすいでしょう。動力は電気モーターです。そのため、長距離を高速で移動する飛行機に比べると、限られたエリアにおける少人数での移動、少量の運搬への活用が想定されています。
国内の自動車メーカーとしてはHonda Jetでおなじみのホンダも、eVtolの開発に積極的。「ビジネスはもとより通勤、通学にも利用できる、より気軽に使える空のモビリティ」として着目しているそうです。新しい移動の価値は、自由な暮らしの未来に結び付く可能性を秘めているというわけです。
今回、飛行デモンストレーションを実施した株式会社Air X(代表取締役 手塚究)は、そうした次世代モビリティの社会実装に向けて、機体の導入やインフラ構築に取り組む日本の企業です。ヘリコプターやプライベートジェットなどのサービスを提供するとともに、それらの予約管理、在庫管理、運行管理といったシステム開発まで行っているそうです。
そんなAir Xが2024年3月11日、茨城県つくば市に新たにテストフィールドをオープンすることを発表。3月21日に報道陣を招いて、開所式を行いました。拠点名は「つくば空飛ぶクルマ テストフィールド」。
つくば市上境にある「つくばヘリポート」を拠点とするつくば航空株式会社と連携し、デモフライトを通しての技術を実証。同時に、整備・管制といった地上インフラ整備に関する検証を行うほか、操縦士の育成スクールを開講、将来的には周辺の敷地に工場を建設、製造・販売まで行う一大ヘッドクオーターを構築する将来像まで描いているそうです。