パイロットなし。オペレーションはタブレットで
実証飛行のデモンストレーションに使用されるのは、「EHang 216-S(以下、EH 216)」。自律型無人航空機(AAV)の技術プラットフォーム企業として世界をリードしている、中国のEHang Holdings Limited(以下イーハン)が開発、販売している機体です。
二人乗りの卵型キャビンを中心に8本の脚が広がり、先端には電気モーターと二枚の同軸プロペラがそれぞれ固定されています。一見して思い浮かべたのは、首がないスワンボートでした。もちろん、非常に近代的なフォルムなのですが、ドアを開くと翼っぽいところとか、キュートなたたずまいが似ているように思えるからです。
最大積載重量は220kg、大人ふたりと荷物(キャビン後方に収納可能)を載せて、最高速度130km/hで飛行することが可能です。充電は高出力の電源車で行われていましたが、満充電での設計飛行距離は約30km/hとなります。時間にして、おおよそ20分ほど、とのことです。
開所式での飛行デモは、ヘリポート敷地内の上空30mほどのとこで方向を変えながら三角形のコースをたどるカタチで2回、行われました。飛行距離は約350m。見た目の「大きなドローン」というイメージから、自由自在に方向を変えながらアグレッシブに飛び回るものを予想していましたが、実際は非常におっとりとした動きです。
上昇、方向転換、水平移動、また方向転換、水平移動・・・というふうに、ベクトルとしては常にひとつの方向に向かっていきます。あまり「運転している」という感じではありませんが、これもおそらく、電動自律型無人飛行機ならではの挙動なのかもしれません。
なにしろドライバーもパイロットも機内にはおらず、乗るのはパッセンジャーだけ。眼前にされた12インチのオンボードタブレットに目的地を設定すると、あとはお任せで目的地まで連れて行ってもらうシステムです。
イーハンのお膝元である中国には、配車から制御、監視、早期警報といった集中管理を行うスマートコントロールセンターがあって、AIによるオートパイロットとともに、オペレーションを行っています。日本にはまだそういう施設はありませんが、将来的にはつくばヘリポートの管制塔にセンターが設けられる計画です。