「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、日産 NV350キャラバンだ。

日産 NV350キャラバン(2012年:フルモデルチェンジ)

画像: 新型キャラバンのフロントマスクで、大きな特徴のひとつがアングルドストラットグリル。メッキ素材を使うことで存在感を高めた。

新型キャラバンのフロントマスクで、大きな特徴のひとつがアングルドストラットグリル。メッキ素材を使うことで存在感を高めた。

スッキリとしたスクエアなシルエット。四隅に追いやられたタイヤはしっかりと大地をとらえている。フルモデルチェンジされたNV350キャラバンは確実にカッコ良くなった。

「このクラスのユーザーは、実のところ6割が個人事業主さんなんです。仕事にも使いますが、プライベートでもクルマを使うんですね。プロ意識の高い方々ですから、ルックスも大切だったんです」と新型NV350キャラバンの開発を指揮したCPS(チーフ プロダクト スペシャリスト)の八木則彦氏(編集部註:2012年当時)は説明する。

つまり、先代のキャラバンは〝仕事のための道具〞であることを最優先に理づめで開発されたクルマだった。スタイルよりも実用性を重視した結果、ライバルのトヨタ ハイエースに大きく水を開けられた。販売的に苦しい状況に追い込まれた日産としては、そこからの挽回を誓って新型の開発に取り組んだのだった。

そこでNV350キャラバンは、先代と同じプラットフォームを利用しながらも、前輪の位置を前進させた。これにより、フロントオーバーハングの短い、どっしりとしたスタイルを得た。さらに室内長も先代比+250mmと拡大。クラストップレベルを実現している。

画像: 横方向の広がり感を持たせてデザインされたインパネ。加飾パネルを積極的に使うなどで、商用車にありがちな素っ気なさをできる限り抑えた。

横方向の広がり感を持たせてデザインされたインパネ。加飾パネルを積極的に使うなどで、商用車にありがちな素っ気なさをできる限り抑えた。

メッキ処理されたアングルドストラットグリルは、強い存在感を主張する。しかし、なんといってもルーフとボディサイドの境目にあったルーフドリップ(雨ドイ)が廃止されているのが、全体のイメージを大きく変えている。ひと目で新世代のクルマとわかるモダンな雰囲気を生み出している。このスタイリングを見ていると、ハイエースも旧型モデル然に思えてしまうから不思議なもの。

後出しジャンケンの有利さといえばそれまでだが、現時点でのルックス勝負ではNV350キャラバンの勝ち!と言っていいだろう。

ドライバーズシートからの眺めは、商用車の常識から一歩も二歩も進んでいる。メッキ加飾を多用したインテリアの雰囲気は、ほとんど乗用車。ブルーのリングに覆われたきれいなメーターの中央には、カラーグラフィックで車両情報を伝えるモニターが収まる。これもNV350キャラバンの新しさを強く実感できるポイントだ。

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