この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第60回目は、軽スペシャリティのジャンルを築いたホンダZの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

スペシャリティカーのコンセプトで軽自動車を作る

軽乗用車では初のスペシャリティカーとして昭和45(1970)年10月に発売されたのがホンダZだった。ホンダN360のフロアユニットに「プロトタイプルック」と呼ばれたクーペボディを架装。

画像: ホンダらしくエンジンはよく回った。空冷、直列2気筒SOHCエンジンの排気量は354㏄。最高出力36㎰を引き出していた。まさに軽スポーツカーだ。

ホンダらしくエンジンはよく回った。空冷、直列2気筒SOHCエンジンの排気量は354㏄。最高出力36㎰を引き出していた。まさに軽スポーツカーだ。

空冷2気筒、 SOHC、354ccで、シングルキャブの31ps仕様とツインキャブ36ps仕様のエンジンを搭載していた。この2つのエンジンはともにN360と共用となっていた。

5タイプのモデルのうちの最高級グレードがGSで、発売はやや遅れて昭和46(1971)年1月となった。エンジンはGT、TSと同じツインキャブの36psで最高速は120km/hの高性能版となっている。軽自動車では初の5速ドグミッションや145SR10ラジアルタイヤ、レーシングタイプの特製バケットシート、パッシングライトなどはGSのみに装備された。

画像: ABS樹脂で縁取りされたリアウインドウは「水中メガネ」などとも呼ばれた。グリルより後方に位置するヘッドライト、低いボンネットなど、デザインは斬新。

ABS樹脂で縁取りされたリアウインドウは「水中メガネ」などとも呼ばれた。グリルより後方に位置するヘッドライト、低いボンネットなど、デザインは斬新。

ホンダZのサスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアはリーフリジッド、ブレーキはフロントにサーボ付きディスク、リアはPCV付きLTドラムだった。

このホンダZによって開拓された軽自動車の新しいジャンルは他メーカーを刺激。昭和46(1971)年5月から9月にかけてミニカ スキッパー、フロンテ クーペ、フェロー MAX HTなど、軽スペシャリティカーが相次いで登場した。

画像: コクピットは航空機さながらのムードを演出していたが、2+2の室内は外から見るよりはるかに広かった。また、ホンダZ GSは軽自動車初のレーシングパターン5速MTを採用。

コクピットは航空機さながらのムードを演出していたが、2+2の室内は外から見るよりはるかに広かった。また、ホンダZ GSは軽自動車初のレーシングパターン5速MTを採用。

昭和46(1971)年12月のマイナーチェンジでホンダZはN360ベースからライフベースに転換、エンジンも空冷から水冷の356ccに換装されて、GSはラインアップから消えている。

ホンダZ GS(SA型)諸元

●全長×全幅×全高:2995×1295×1275mm
●ホイールベース:2000mm
●車両重量:525kg
●エンジン型式・種類:N360E型・直2SOHC
●排気量:354cc
●最高出力:36ps/9000rpm
●最大トルク:3.2kgm/7000rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:145SR/10
●新車価格:46万3000円

This article is a sponsored article by
''.