ピットインのタイミングで順位が変わる接戦
ル・マン24時間レースは、決勝が行われる1週間前の週末に、ル・マン市街中心部で恒例の公開車検、市街周辺を巡るパレードが行われ、各チームにとっては今年初めて公道区間を含むサルテ・サーキットを走行できるテストデーで公式スケジュールがスタートする。
2024年のル・マン24時間レースは、最高峰のハイパーカークラスに実に9メーカー23台のマシンがエントリーするということでも注目を集めたが、木曜日に行われた予選ハイパーポールでは6号車ポルシェ963がポールポジションを獲得して下馬評どおりの速さを示す中、キャデラックが目を見張るスピードを見せ、フェラーリがこれに続き、王者トヨタが後方に沈む意外な展開で始まった。
決勝レース当日のル・マンは正午からのウォームアップ走行直後にまとまった雨に見舞われたが、現地16時のスタート時点では雨は上がって路面も乾き、ドライコンディションの下で大きな波乱なくレースは始まった。
ところが、いざ決勝が始まると、前年の100周年大会を制したフェラーリ499P勢が序盤をリードし、予選で後方に沈んだトヨタGR010ハイブリッドが復調するなど、戦前の予想とはやや異なる展開ともなった。各チーム、まずはライバルの速さや手の内を探りながらの攻防だ。
しかもレースが1時間半を経過すると早くも雨が降り出し、その後一端やむものの、再び雨が降るとという不安定な天候に。そして、レースが6時間を経過する頃には激しい雨が降り出し、その中でアクシデントが起きたためセーフティカーが導入される。
このセーフティカーランは1時間半ほどで解除されたが、9時間目に入る前に再び強い雨が降り出し、夜間ということもあって長いセーフティカーランが続くことになる。
明け方になってようやく雨脚が弱まりレースが再開されたが、その後も何度も降雨に見舞われ、タイヤ選択やスローゾーンの設定などが勝負の流れを左右していく。
8号車トヨタは長い時間レースをリードしたが、セーフティカーの導入で上位勢のギャップがリセットされたため、多くのマシンが同一周回でポジションを争う、スプリントレースさながらの激戦が展開された。
そして、ピットインのタイミングで順位が変わる接戦の中、フェラーリ、トヨタ、ポルシェの三つ巴で展開されていた優勝争いは、レース最終盤に向けてフェラーリとトヨタに絞られていった。
残り1時間、トップに立っていた50号車フェラーリが先に燃料補給。これで首位に戻った7号車トヨタも残り42分で燃料補給し、再び50号車フェラーリがトップに立った。
ゴールまで燃料がぎりぎりの50号車フェラーリと、燃料を補給してハイペースで飛ばす7号車トヨタの最後の攻防は、予断が許されない状況となったが、ここで再び降り出した雨でレースペースがダウン。周回数は311周にとどまり、50号車フェラーリが逃げ切った。
優勝した50号車フェラーリ499Pと2位の7号車トヨタGR010ハイブリッドのタイム差はわずか14秒221。9台のマシンが優勝したフェラーリと同じ311周をラップしたが、これはこれまでの3台を大きく上回る記録だった。
2024年WEC世界耐久選手権第4戦ル・マン24時間 決勝 ハイパーカークラス 結果
1位 50 フェラーリ 499P・AFコルセ 311周
2位 7 トヨタGR010ハイブリッド +14.221s
3位 51 フェラーリ 499P・AFコルセ +36.730s
4位 6 ポルシェ 963・ペンスキー +37.897s
5位 8 トヨタGR010ハイブリッド +62.824s
6位 5 ポルシェ 963・ペンスキー +105.654s
7位 2 キャデラックVシリーズ +154.468s
8位 12 ポルシェ963・ハーツチームイオタ +182.691s
9位 38 ポルシェ963・ハーツチームイオタ +216.756s
10位 63 ランボルギーニSC63・アイアンリンクス +2周
11位 94 プジョー9X8 +2周
12位 93 プジョー9X8 +2周
13位 19 ランボルギーニSC63・アイアンリンクス+2周
14位 11 イソッタティーポ6-C +9周
15位 311 キャデラックVシリーズ・ウェーレン +31周
16位 99 ポルシェ963・プロトン +60周
17位 20 BMW M ハイブリッド V8
18位 83 フェラーリ499P・リシャール・ミル
19位 3 キャデラックVシリーズ
20位 4 ポルシェ963・ペンスキー
21位15 BMW M ハイブリッド V8
22位 36 アルピーヌA424
23位 35 アルピーヌA424
※ポールポジション 6 ポルシェ 963・ペンスキー