アウディは2024年7月11日、イギリスで開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2024で、16気筒エンジンを搭載した公道走行可能なスポーツカー「アウトウニオン タイプ52」を一般公開した。

幻のスポーツカーを復元してグッドウッドで走行

アウディ トラディションは、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2024で「アウトウニオン タイプ52」を初めて一般公開した。

画像: アウトウニオン タイプ52の独創的なデザインは見るものを魅了する。

アウトウニオン タイプ52の独創的なデザインは見るものを魅了する。

アウディ トラディションの責任者、シュテファン・トラウフは次のように述べている。
「グッドウッドでアウトウニオン タイプ52を発表できることを大変嬉しく思います。このクルマは、デザインとテクノロジーで人々を興奮させることでしょう。私にとって、これはまさに夢の車です。残念ながら約90年前は夢のままでしたが、今、私たちはそれを現実のものにすることができました。アウトウニオン タイプ 52 は、その開発者の創意工夫と当時の技術革新を示しています」

シュテファン・トラウフ氏が語る「90年前は夢のまま…」とはいったいどういうことなのだろうか。実はアウトウニオン タイプ52は当時は実現しなかった、つまり“幻のクルマ”という歴史があるのだ。

アウトウニオン タイプ52は1933年、ポルシェの設計事務所が最初の設計スケッチを描き、翌年にはより具体的なカタチになっていた。当時のプロジェクトマネージャーはテストカーを制作することを決定していたが、1935年にはプロジェクトは中止され、実現しなかったという。

画像: 1933年に描かれた当時の設計スケッチ。この時は実現がかなわなかった。

1933年に描かれた当時の設計スケッチ。この時は実現がかなわなかった。

当時の資料によると、アウトウニオンタイプ52のシャシは、エンジンをミッドマウントしたラダーフレームとして設計された。

ドライバーは中央に座り、後部の助手席はわずかに横にオフセットされている。そして空車重量は1300kgと記載されている。

ドライブトレインは16気筒エンジンを使用したが、その圧縮はクルマがレギュラーガソリンで走行できるように下げられたという。同時にルーツ式のスーパーチャージャーのギア比も下げられた。

アウトウニオン タイプ52のエンジンの排気量は4.4Lで、最高出力200ps/3650rpm、最大トルク436Nm/2350rpmを発生していた。

グランプリレースでの伝説と比べるとほどほどのスペックだが、エンジニアの計算によると最高速は200km/hを超えるということで、最も強力な公道を走れる車両のひとつだったことは間違いない。

画像: 90年の時を経て実現したアウトウニオン タイプ52。見た目のインパクトは現代でも通用する。

90年の時を経て実現したアウトウニオン タイプ52。見た目のインパクトは現代でも通用する。

画像: 排気量4.4Lの16気筒エンジンをリアミッドに搭載。

排気量4.4Lの16気筒エンジンをリアミッドに搭載。

画像: 運転席を中央に据えた3人乗りのレイアウトを採用。

運転席を中央に据えた3人乗りのレイアウトを採用。

アウトウニオン タイプ52は、グッドウッドでル・マン記録の勝者であるトム・クリステンセンと、レーシング界のレジェンドであるハンス=ヨアヒム・シュトゥックがドライブする。

後者の父、ハンス=シュトゥックは、1930 年代に人気だったヒルクライムでアウトウニオン グランプリ レースカーを駆り数々の勝利を収め、「ヒルクライム チャンピオン」として歴史に名を残した。

ハンス=ヨアヒム シュトゥックは、アウトウニオン タイプ52の試乗後、次のように語っている。
「アウトウニオン タイプ52は、ただ息を呑むほど美しいです。そのサウンドは信じられないほど響き渡り、まるでオーケストラから響いているようです。 グッドウッドで初めて運転できることは、大変名誉なことであり、喜びでもあります」

画像: アウトウニオン タイプ52がイギリスで開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2024で走行。

アウトウニオン タイプ52がイギリスで開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2024で走行。

画像: レーシング界の伝説的人物ハンス=ヨアヒム・シュトゥック(左)とル・マン優勝者のトム・クリステンセン(右)。

レーシング界の伝説的人物ハンス=ヨアヒム・シュトゥック(左)とル・マン優勝者のトム・クリステンセン(右)。

■アウトユニオン タイプ52の技術データ

オートユニオン タイプ52
2023年モデル
アウトウニオン タイプ52
1934年に計画された
エンジンスーパーチャージャー付き16気筒ミッドマウントエンジンスーパーチャージャー付き16気筒ミッドマウントエンジン
変位6005 cc
(1936年型アウトウニオンタイプCに類似)
4358 cc
(1934年型オートウニオンタイプAと同じ排気量)
出力520ps/4500rpm200ps/3650rpm
最高速度該当なし200km/hで設計
燃料メタノール50%、無鉛ガソリン40%、トルエン10%レギュラーガソリン
寸法(長さ/幅/高さ)5390 / 1780 / 1660mm
ホイールベース3315mm3000mm
空荷重量1450kg1300kg
外装色セルロース銀
モデル年2023
ユニット総数ユニークなモデル

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