首位を走るオジェに2戦連続のアクシデント
第4戦クロアチア以来となるターマック(舗装)ラリーとなったセントラルヨーロッパは、初開催だった前年以上にダーティで滑りやすい路面にアクシデントが続発、勝敗の行方が二転三転する荒れた展開となった。
ラリー序盤をリードしたのは前戦に痛いアクシデントで優勝を逃したトヨタのセバスチャン・オジェ。しかし、すぐにターマックラリーでは有利な先頭スタートを活かしてポイントリーダーのティエリー・ヌーヴィルが追いつき逆転。金曜日を終えた段階でオジェに6.4秒の差をつけて首位に立った。
だが、翌日土曜日は一転してタナックとオジェが猛追。僅差の三つ巴となって迎えたSS11でヌーヴィルが2度のコースアウトを喫し、一気に4番手まで後退、このラリーでの王座確定が遠のいてしまう。これでオジェが再び首位に立ったが、タナックもぴたりとくらいつき勝負は日曜日に持ち越された。
その最終日、オープニングのSS15で、今度はオジェがまさかのコースアウト。クルマにダメージなく走行に戻ったものの、ここでタナックに首位を明け渡してしまう。
挽回を期すオジェは続くSS16でタナックとの差を1.5秒につめ、残りは2ステージ。しかしSS17、オジェはスタート直後にまさかのコースオフを喫して、今度はコース復帰が叶わずリタイアとなった。
優勝は、オジェ脱落後、慎重な走りに徹して無難にまとめたタナック。わずかに残されていたオジェの逆転ドライバーズタイトルの目はリタイアで完全に消滅し、ドライバーズチャンピオンの座はシーズン2勝目を挙げたタナックとヌーヴィルのヒョンデ勢同士で争われることになった。
ただし残りは1戦、フルポイントは30点という状況で両者の差は25点と大きく、ヌーヴィルの優位は動かない。
日曜日の最速は勝田、トヨタの危機を救った
一方、土壇場でオジェが無得点に終わり、消沈するトヨタのサービスを奮い立たせたのが勝田だった。日曜日のSS16、そしてその再走となる最終パワーステージSS18でベストタイムを刻み、日曜日単独のスーパーサンデー1位を確保。土曜日までの4位のポイント、パワーステージの1位のポイントと合わせ優勝したタナックと同じ22点の高得点を獲得したのだ。
この勝田の奮闘によって、トヨタはラリーでは勝てなかったものの、マニュファクチャラーズ選手権でわずか2点ながらヒョンデとの差をつめ、15点差で最終戦を迎えることになった。
雌雄を決する運命の第13戦ラリージャパンは、11月21日~24日、愛知県豊田市の豊田スタジアムを起点に、愛知・岐阜両県のターマック路で開催される。(文:新村いつき)
2024年 WRC第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリー 結果
1位:O.タナック(ヒョンデ i20N ラリー1ハイブリッド)2h37m34.6s
2位:E.エバンス (トヨタ GRヤリス ラリー1 ハイブリッド)+7.0s
3位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ i20N ラリー1ハイブリッド)+39.8s
4位:勝田貴元 (トヨタ GRヤリス ラリー1 ハイブリッド)+1m21.0s
5位:G.ミュンスター(フォード・プーマ ラリー1 ハイブリッド) +3m41.9s
6位:N.グライジン(シトロエン C3 ラリー2)+9m17.6s
7位:O.ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)+9m34.1s
8位:F.マレス(トヨタ GRヤリス ラリー2) +11m41.5s
9位:M.マルチュク(シュコダ・ファビアRSラリー2)+12m10.6s
10位:K.カエタノビッチ(シュコダ・ファビアRSラリー2)+12m20.3s
2024年 WRCドライバーズランキング(第12戦終了時)
1位 T.ヌーヴィル(ヒョンデ)225
2位 O.タナック(ヒョンデ)200
3位 E.エバンス(トヨタ)185
4位 S.オジェ(トヨタ)166
5位 A.フルモー(Mスポーツ・フォード)146
6位 K.ロバンペラ(トヨタ)114
7位 勝田貴元(トヨタ)102
2024年 WRCマニュファクチャラーズズランキング(第12戦終了時)
1位 ヒョンデ 526
2位 トヨタ 511
3位 Mスポーツ・フォード 267