新型でも継承された、スペーシアギア「らしさ」
スーパーハイト軽にクロスオーバーテイストを加えたモデルは、2018年に発表された初代スペーシアギアが最初だった。以来、タント ファンクロスやデリカミニなど、競合車種が登場。ついにホンダからもN-BOXジョイなるモデルが登場した。現行型スペーシア シリーズの登場時から「ギアも出ます」とはアナウンスされていたが、待つこと約9カ月、待望の新型スペーシアギアが登場したので、まずは試乗してみることにした。
標準車(以下、ノーマル)やカスタムとボディパネルは共通なものの、丸目ヘッドランプやメッキブロックのグリル、専用バンパーや前後スキッドプレートなどで大きく差別化され、SUVテイストも十分に漂わせている。その「無骨かわいい」デザインは、「ノーマルではおとなしすぎるし、カスタムはオラオラに見えるし…」と思われてスペーシアの購入で悩んでいた人には、格好のモデルかもしれない。
インテリアも基本デザインはノーマルやカスタムと共通だが、ブラック基調でカーキグリーンをアクセントに用いたり、専用のシート表皮もいい雰囲気だ。もちろん、マルチユースフラップ付きのリアシートや多彩なシートアレンジ、そしてスズキセーフティサポートなど、安全&快適装備はシリーズの他モデルと変わらず充実している。
試乗車は2WD(FF)のターボ車。走り出してしまうと、基本的な走りっぷりは他のスペーシアと変わらない。ターボエンジンは低速域から十分にトルクフルで、おとなしめに加速していっても十分に速い。逆に追い越し加速などでアクセルペダルを目いっぱい踏むとCVT特有のラバーバンド フィールで速度よりも先にエンジン回転数が上がってしまうが、これはどのCVT車でも変わらない症状だ。
市街地でも高速でも、乗り味はけっこう快適。前後とも室内は広いし、ACC(アダプティブ クルーズコントロール)の作動は適切で、高速走行でもノイズは抑えられている。市街地走行では、アイドリングストップは頻繁に作動し、完全停車前にエンジンは止まる。
今回は取材用機材車も兼ねて、3日間で約440km(高速が約270km、一般道が約170km)走行し、平均燃費計は20.3km/Lを記録した。エコランなどはせず、エアコンは入れっぱなし。高速道路ではACCを積極的に使用している。スーパーハイト軽のターボ車としては、悪くない数値だ。
ライバルが増えてきたクロスオーバーテイストのスーパーハイト軽だが、先駆者らしい仕上がりといえる。スズキでは新型スペーシアギアを「10マイル アドベンチャー」と謳っているけれど、ふだんの街中使いはもちろん、ロングツーリングにも十分に対応してくれる出来の良さを感じさせてくれた。