走行面の変更はないはずだが、乗り味は良くなっていた
走行性能に関する変更や改良は伝えられていないが、試乗車として用意されたフルハイブリッドに乗ると明らかに変わっていた。
改良前も悪くはなかったものの、それほど大径タイヤでないわりにはバネ下が重くバタつきが多少感じられるなど、全体的な乗り味にやや粗さが見受けられた。従来の215/55R19から225/45R19サイズにサイズアップされたタイヤを履くと乗り心地が悪化するのでは?と思っていたが、むしろ逆だったことに驚いた。
新型のタイヤはさらに重くなり、サイドウォールが薄くなっているにもかかわらず、路面からの入力を巧くやわらげてしなやかな乗り心地を実現している。タイヤの銘柄はハンコックventus S1 evo3だったが、これがいい仕事をしているに違いない。
乗り心地だけではなくハンドリングも進化している。改良前もいい意味でゆるさがありながら、巧くバランスしていてそれはそれで悪くなかったが、新型は正確性としっかり感が増して走りの精度が高まっていることに驚いた。これは足まわりだけでなく多少なりとも車体まで手を加えないと、この味は出ないと思う。
市街地走行でもスムーズさを増したフルハイブリッド
E-TECH FULL HYBRIDについては、これまでどおりダイレクト感がある。市街地では電動走行する頻度が高く、省燃費に優れることにあらためて感心するとともに、これまでときおり見受けられたギクシャク感とまではいかない「カチャカチャ」とした違和感があったがこれが薄れてスムーズになっていることに気づいた。これについては公式のアナウンスはないが、こうしたところも少なからず熟成されているようだ。
また、従来型の途中から採用されたE-SAVE機能を使うと、バッテリー残量をほどよく維持してくれるのも助かる。
より気持ち良い走りを楽しみたいなら、アクセルペダル操作に対するレスポンスが向上し、ハンドルの手応えも増すスポーツモードを選択するといい。
少々気になったのは、改良前もそうだったのだが、車速と連動して上昇する笛を吹くような小さな音が聞こえることだ。エンジンが動いているときに鳴り、止まるとやむので、発電に関わる何かが共鳴しているのかもしれない。
アルカナのパッケージングの巧みさにもあらためて感心した。これほどスタイリッシュでありながら、実用性がまったく犠牲にされた印象がない後席や荷室の広さも十分に確保されていて、後席向けの空調の送風口もある。
欲をいうと電動テールゲートがぜひ欲しいところ。このセグメントでも今では当たり前の装備になってきたし、大きくて重いのでなおのことだ。
アルカナには、適正価格でとても上質なクルマが手に入ることに大きな価値を感じていたが、少し値上がりしたとはいえ、その印象は新型でも変わらなかった。
【ルノー アルカナ エスプリ アルピーヌEテック フルハイブリッド 主要諸元】
●Engine 型式:H4M 種類:直4DOHC 総排気量:1597cc ボア×ストローク:78.0×83.6mm 最高出力:69kW(94ps)/5600rpm 最大トルク:148Nm(15.1kgm)/3600rpm 燃料・タンク容量:プレミアム・50L WLTCモード燃費:22.8km/L CO2排出量:102g/km
●Motor 型式 メイン/サブ:5DH/3DA 種類:交流同期電動機 メインモーター最高出力:36kW(49ps)/1677-6000rpm メインモーター最大トルク:205Nm(20.9kgm)/200-1677rpm サブモーター最高出力:15kW(20ps)/2865-10000rpm サブモーター最大トルク:50Nm(5.1kgm)/200-2865rpm 駆動用バッテリー種類:リチウムイオン
●Dimension&Weight
全長×全幅×全高:4570×1820×1580ホイールベース:2720mm 車両重量:1470kg mm 最小回転半径:5.5m
●Chassis 駆動方式:FF トランスミッション:4速AT(原動機)/2速AT(電動機) ステアリング形式:ラック&ピニオン サスペンション形式 前/後:ストラット/トレーリングアーム ブレーキ 前/後:Vディスク/ディスク タイヤサイズ:225/45R19
●Price 車両価:4,990,000円