乾けば砂埃に包まれ、雨が降ればぬかるむ、タフなグラベルラリー
アクロポリス・ラリーは、1951年に初めて開催され、WRC初年度の1973年からシリーズの一戦に組み込まれた伝統的なグラベル(未舗装路)イベント。

アクロポリス・ラリー・ギリシャのスペシャルステージの路面。大きな石が転がる「悪路」は、晴れれば砂埃が舞い上がり、雨が降ればぬかるみ滑りやすくなる。
2021年にWRCのカレンダーに復帰して以降、9月の開催が定着していたが、今年は開催時期が気温の高い6月に移動。大きな石が転がる「悪路」で知られるアクロポリス・ラリーは、晴れれば気温が上昇し路面には乾いた砂が浮き、雨が降れば路面が泥に覆われて滑りやすいコンディションとなる。
そこに例年以上の高温となれば、クルマ、タイヤにとっても過酷なサバイバルラリーとなることが予想される。南ヨーロッパで3戦続いたラフグラベル(荒れた未舗装路)ラリーの最後を飾るに相応しい激しい戦いとなりそうだ。
ただ、近年はラフな路面だけでなく、比較的スムースな路面も多くあり、またツイスティな低中速コーナーだけでなく、ハイスピードなコーナーも多く含まれるコース設定となった結果、総合力が求められるようになってきている。
最終のSS17「タルザン2」は「パワーステージ」に設定
今年はラリーのスタートが首都アテネへと戻り、26日木曜日の夜はアテネ中心部でのセレモニアルスタートに続き、オープニングのスーパーSSが市街地で行われる。

アクロポリス・ラリー・ギリシャのスペシャルステージのステージマップ。ギリシャ中部のラミアを起点に、山岳地帯のグラベル(未舗装路)に設けられる。
その後、ラリーはアテネから西に約80km移動し、グラベルステージでの本格的な戦いは27日金曜日のデイ2から始まり、シーサイドリゾートのルートラキを起点に、サービスパークが置かれるラミアを目指しながら6本のステージを走行。この日同じステージを2回走行するのはSS2/4のみ、残る4ステージは1回しか走らないため、出走順が早いドライバーたちにとっては非常に難しい一日となる。
競技3日目、28日土曜日のデイ3は中央ギリシャのラミアに置かれるサービスパークを中心に行なわれ、ラミアの南側で3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。6本のステージの合計距離は123.44kmと長く、4日間で最長の一日となる。
ラリー最終日となる29日日曜日のデイ4は、ラミアの北西エリアで2本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。そのうちSS14/16「スモコヴォ」は新ステージで、SS15の再走ステージとなる最終のSS17「タルザン2」は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に設定されている。
ラリーは4日間で17本のステージを走行し、その合計距離は345.76km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1422.04kmが予定されている。