最強マクラーレンは低迷、フェルスタッペンが独走
6回もの赤旗が出た波乱の予選の余韻を引きずるように、スタートで大波乱が起きた。予選9位に沈んでいたポイントリーダーのオスカー・ピアストリがスタートで失速し大きくポジションダウン、挽回を焦りターン6でアウト側のバリアにクラッシュしてしまったのだ。これでレースはいきなりのセーフティカー出動となった。

今季4勝目をあげたレッドブルのマックス・フェルスタッペン。ポールポジションから優勝しただけでなく、全51周をリードし、ファステストラップも記録して、自身6回目のグランドスラムを達成した。通算67勝目。
再開は4周目から。ポールポジションのフェルスタッペンは1回目のスタートと同様に素晴らしいダッシュを見せ、主導権を握った。2、3番手にはグリッド順通りにサインツとローソンがつけるが、レッドブルとのペース差は大きく、フェルスタッペンはマクラーレンやフェラーリが迫ってこない隙に、ここから一人旅となっていく。
後半にはレースペースが良く順位を上げ、タイヤ交換でサインツをオーバーカットしたラッセルが2番手に浮上するが、フェルスタッペンは全ドライバー中最後となる41周目に余裕を持ってタイヤ交換。そのまま残り10周を走り切って前戦イタリアに続くトップチェッカーを受けた。
レース後のフェルスタッペンは「週末を通してすごく良かった。ずっとクリーンエアで走れたから、タイヤをマネージメントして第1スティントを長く伸ばすことができた。差を広げてからセーフティカーが出なかったのも助かったよ」と完全勝利に笑顔を見せた。

マクラーレン勢のいない表彰台。2位のジョージ・ラッセル(メルセデス)は今季6回目、通算22回目の表彰台。3位のカルロス・サインツはウィリアムズでの初のトップ3フィニッシュを記録した。
上位で奮闘の角田、今季最上位の6位でフィニッシュ
初表彰台の期待もかかった角田は、フェルスタッペン同様にハードタイヤでのスタート。序盤はメルセデスのペースについていけなかったが、それでも後方のシャルル・ルクレール(フェラーリ)やノリスを抑え込む展開となった。

終始上位争いを展開し6位に入賞した角田裕毅。リアム・ローソン(レーシングブルズ)、ランド・ノリス(マクラーレン)と緊迫の勝負を繰り広げた。
ミディアムタイヤに交換しピットアウトした直後には一旦ローソンをかわすもののすぐに抜き返され、レース終盤はノリスを抑えながら、ローソンを追う展開に。だが、今回のレーシングブルズはストレートスピードが速く、結局ローソンを抜けないままチェッカー。
それでもスプリントを除けば、今季最上位となる6位に入賞。8ポイントを獲得し、ドライバーズランキングも19位から16位まで上げた。

アゼルバイジャンGPのタイヤ戦略。昨年よりも柔らかいコンパウンドだったものの、通常より気温が低く、ミディアム、ハードとも劣化は小さく、タイヤ関してはシンプルな1ストップレースとなった。
選手権上位では首位のピアストリが無得点に終わり、今回7位と低調だった2番手ノリスとの差が25点に。2連勝の3番手フェルスタッペンがノリスとの差を44点とした。
次戦第18戦シンガポールGPは、10月3日、シンガポール市街地サーキットで開幕、決勝は10月5日に行われる。(文:新村いつき)