2戦連続のターマックラリーでタイトル争いに変化?
南米大陸を舞台に行なわれた前2戦、ラリー・デル・パラグアイとラリー・チリで、トヨタのセバスチャン・オジェが連勝。2位にも連続してチームメイトのエルフィン・エバンスが入り、トヨタはマニュファクチャラーズポイントでヒョンデに125点の差をつけ、今回のセントラル・ヨーロピアン・ラリーを終えた時点で120点以上のリードを維持することができた場合、2戦を残して5年連続となるマニュファクチャラーズタイトルを確定する。
一方で、ドライバーズタイトル争いは激しさを増しており、首位オジェと、2位エバンスとの差はわずか2ポイント。3位のカッレ・ロバンペラ(トヨタ)は、首位のオジェと21ポイント差とやや厳しい状況にあるが、トヨタの3人の争いはまだまだ結末はわからない。ヒョンデはオジェと43点差で4位にオイット・タナック、5位に58点差で昨年のチャンピオンであるティエリー・ヌーヴィルと、首位からやや離されているが、まだ逆転チャンピオンの可能性は残されている。
【参考】2025年 WRCマニュファクチャラーズランキング(第11戦終了時)
1位 トヨタ 572
2位 ヒョンデ 447
3位 Mスポーツ フォード 157
【参考】2025年 WRCドライバーズランキング(第11戦終了時)
1位 S.オジェ(トヨタ )224
2位 E.エバンス(トヨタ)222
3位 K.ロバンペラ(トヨタ)203
4位 O.タナック(ヒョンデ)181
5位 T.ヌーヴィル(ヒョンデ)166
6位 勝田貴元(トヨタ)94
7位 A.フルモー(ヒョンデ)86
タイトル争いの予想を難しくしているのが、今週末のセントラル・ヨーロピアン・ラリー、11月のラリージャパンと、シーズン終盤に2戦連続でターマックラリーが開催されること。5月の第5戦ラリー・ポルトガルから9月の第11戦ラリー・チリにかけて、グラベル(未舗装路)ラリーが7戦続いたが、ここから戦況が大きく変わることもありえる。
エバンスは昨年のセントラル・ヨーロピアン・ラリーでは総合2位を獲得、ロバンペラは一昨年のセントラル・ヨーロピアン・ラリーのウイナーであり、4月に開催されたターマックラリーの第4戦「ラリー・イスラス・カナリアス」では圧勝している。また、タナックは昨年のセントラル・ヨーロピアン・ラリーでオジェを破って優勝を飾った。
シーズンも残り3戦、すべてのドライバーが全力で戦うことになり、激しく、過酷なラリーにあるのは間違いない。

マニュファクチャラーズ選手権ではトヨタが大きくリード。セントラル・ヨーロピアン・ラリーで5年連続のタイトルが確定する可能性もある。

マニュファクチャラーズタイトル獲得は難しくなってきたが、ドライバータイトルではまだまだ可能性を残すヒョンデ。タナックのために、チームが一丸となって戦うか。
ステージはターマックだが国ごとに路面のキャラクターは大きく異なる
そんな中で行われる第12戦「セントラル・ヨーロピアン・ラリー」は、2023年に初めてWRCとして開催。ドイツ、チェコ、オーストリアの3カ国を舞台とする斬新な試みのラリーとして大きな注目を集めた。
ステージは全てターマックとなるが、かなり広い地域をカバーするため、国ごと、地域ごとに道や路面のキャラクターは大きく異なるのが特徴だ。開けた場所にあるセクションもあれば、木々の下を走行する狭いセクションもあり、グリップレベルは刻々と変化し、コーナーのインカットにより泥濘化しやすい場所も多い。
またそれに加え、この時期のヨーロッパは天気がとても変わりやすく、雨や泥、そして落ち葉などによって路面は所々非常に滑りやすくなることが予想される。特に朝方は冷え込むので、こうしたコンディション下ではミスが起きやすくなる。

ステージはドイツ、チェコ、オーストリアのヨーロッパ3カ国を巡るため、国ごと、地域ごとに道や路面のキャラクターは大きく異なる。

落ち葉などによって路面が非常に滑りやすくなるステージもあり、注意が必要。昨年も滑りやすい路面にアクシデントが続発した。