昨年はオジェとの戦いを制したタナックが優勝
昨年のセントラル・ヨーロピアン・ラリーは、初開催だった前年以上にダーティで滑りやすい路面にアクシデントが続発、勝敗の行方が二転三転する荒れた展開となった。
ラリー序盤はトヨタのセバスチャン・オジェがリードするも、すぐにターマックラリーでは有利な先頭スタートを活かしてヒョンデのティエリー・ヌーヴィルが追いつき逆転。ヌーヴィルが首位で金曜日を終えたが、翌土曜日は一転してタナックとオジェが猛追。僅差の三つ巴となる中、ヌーヴィルが2度のコースアウトを喫して後退し、オジェとタナックの勝負は日曜日に持ち越された。
その最終日、今度はオジェがまさかのコースアウト。挽回を期すオジェは最後まで攻めたが、残り2ステージのところで再びコースオフを喫してリタイアとなった。タナックはオジェ脱落後、慎重な走りに徹して無難にまとめてトップフィニッシュ、2位にトヨタのエルフィン・エバンス、3位にはヒョンデのティエリー・ヌーヴィルが入った。

昨年のセントラル・ヨーロピアン・ラリー を制したヒョンデのオイット・タナック。
【参考】2024年 WRC第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリー 結果
1位:O.タナック(ヒョンデ i20N ラリー1)2h37m34.6s
2位:E.エバンス (トヨタ GRヤリス ラリー1)+7.0s
3位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ i20N ラリー1)+39.8s
4位:勝田貴元 (トヨタ GRヤリス ラリー1 )+1m21.0s
5位:G.ミュンスター(フォード・プーマ ラリー1 ) +3m41.9s
6位:N.グライジン(シトロエン C3 ラリー2)+9m17.6s
7位:O.ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)+9m34.1s
8位:F.マレス(トヨタ GRヤリス ラリー2) +11m41.5s
9位:M.マルチュク(シュコダ・ファビアRSラリー2)+12m10.6s
10位:K.カエタノビッチ(シュコダ・ファビアRSラリー2)+12m20.3s
ドイツをスタートしてオーストリアでフィニッシュするステージも
今年のセントラル・ヨーロピアン・ラリーのサービスパークは、ドイツ南東部バイエルン州のパッサウに置かれ、10月16日(木)にパッサウのバート・グリースバッハ周辺でシェイクダインが行なわれた後、午後からデイ1として同エリアで競技がスタート。「ゴルフ&テルメ」という12.83kmのステージをSS1、2として2回走行し、パッサウのサービスでデイ1は終了。
競技2日目の17日(金)はパッサウのサービスパークを起点に、3カ国のステージをミッドデイサービスを挟むことなく各2回走行。日中にはチェコの「カプリツェ」に設定されたタイヤフィッテイングゾーンで、簡易な整備作業が実施される。
競技3日目となる18日(土)のデイ3はドイツで1本、チェコで2本の計3ステージを、クラトヴィ(チェコ)でのタイヤフィッテイングゾーンを挟んで各2回走行。6本のステージの合計距離は103.64kmと、4日間で最長の距離を走行する。
ラリー最終日となる19日(日)のデイ4は、ドイツとオーストリアが舞台に。SS15とその再走ステージSS17「ビヨンド・ボーダーズ」は、その名が示すように今年も国境を越えるステージとなる。また、SS16の再走となるオーストリア国内でのSS18「ミュールタール2」は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に設定されている。
ラリーは4日間で18本のステージを走行し、その合計距離は306.08km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は、1457.55kmが予定されている。

セントラル・ヨーロピアン・ラリーのステージマップ。ドイツ、チェコ、オーストリアが隣接する地域で行われ、中には国境を越えるステージも設定される。
トヨタは、オジェ、エバンス、ロバンペラがワークスとしてエントリー。一方のヒョンデは、ヌーヴィル、タナック、フルモーの布陣でのぞむ。勝田 貴元は4台目のトヨタ GRヤリス ラリー1 をドライブ、母国ラリーである第13戦ラリージャパンに向けて、セントラル・ヨーロピアン・ラリーはパフォーマンスをベストな状態に高めるための重要な一戦となる。