意外とオーバーテイクは難しく予選が重要となる
アブダビGPの舞台となるのはヤスマリーナ・サーキット。ヘルマン・ティルケの設計によるこのコースは、2021年にオーバーテイクがしやすいように改良され、より高速で流れるレイアウトとなった。特に、低速のターン5と6をつなぐ1.2kmのストレートがオーバーテイクの名所となっている。

アブダビGPが行われるヤスマリーナ・サーキットのコース図。コース全長5281m、2021年に行われたコース改修により、かつてよりオーバーテイクが見られるようになったが、オーバーテイクは簡単ではない。コース幅が広くエスケープゾーンも多いため、セーフティカー導入は少ない。
ターン10〜12のセクションも注目ポイントで、ドライバーはブレーキングを強いられ、マシンには大きな横方向の負荷が加わる。なお、今年はターン1〜4の一部が再舗装されバンプが是正されている。
アップダウンはほとんどないが、第1と第2セクターは高速サーキットとなる一方、第3セクターはリズミカルな中低速コーナーが多く、マシンセッティングをどちらにあわせるか悩ましい。
また、路面は砂漠から飛来する砂で滑りやすく、決勝レースが日没前の夕刻にスタートし、その後、照明の下での完全な夜間走行となるトワイライトレースとして開催されるのも大きなポイントになる。降雨の確率は低いが、夕刻17時にスタートし夜間に向けて気温が低下するため、タイヤのマネージメントが難しい。
ヤスマリーナ・サーキットはピットロードも特徴的で、ピットを離れた後、コースの地下をくぐり抜けてから本線に合流する形となる。狭いトンネルは滑りやすく注意が必要で、またピットレーンの距離が長くなるため、タイヤ交換のためのロスタイムが通常よりも長くなる。
昨年2024年もアブダビGPは最終戦として行われ、マクラーレンのランド・ノリスが優勝。2位にカルロス・サインツ、3位にはシャルル・ルクレールとフェラーリ勢が入ったが、マクラーレンとフェラーリの2チームに絞られていたコンストラクターズ争いはマクラーレンに軍配が上がった。マクラーレンのコンストラクターズ選手権獲得は26年ぶり。すでにドライバーチャンピオンを決めていたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は6位だった。
ポールポジションからレースの主導権を握りそのままレースをコントロールして逃げ切ったノリスは、レース後「素晴らしい瞬間だ。こんなふうにシーズンを終えられて最高の気分だよ。これは僕の勝利じゃなく、チームの勝利。本当に誇らしいよ。今年はたくさんミスもしたし、そこから学ぶことも多かった。マックス・フェルスタッペンからもたくさん学ばせてもらった。次の年こそ、ドライバーズ選手権を勝ち取りたい」と語った。

昨年のアブダビGPを制したマクラーレンのランド・ノリス。ポールポジションからの逃げ切りだった。

昨年のアブダビGPのタイヤ戦略。ミディアム→ハードの1ストップが勝利戦略となった。
【参考】2024年F1第24戦最終戦アブダビGP決勝 結果
1位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)58周
2位 55 C.サインツ(フェラーリ) +5.832s
3位16 C.ルクレール(フェラーリ)+31.928s
4位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+36.483s
5位 63 G.ラッセル(メルセデス)+37.538s
6位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダRBPT)+49.847s
7位 10 P.ガスリー(アルピーヌ・ルノー) +72.560s
8位 24 N.ヒュルケンベルグ(ハース・フェラーリ )+75.554s
9位14 F.アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)+822.373s
10位 81 O.ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)+83.821s
────────────12位 22 角田裕毅(RB・ホンダRBPT))+1周
ファステストラップ 20 K.マグヌッセン(ハース・フェラーリ )
