心地よい運転姿勢を後席でも
日産ルークスがフルモデルチェンジを機に方針転換したようだ。
釣り上がったヘッドライトやリアへ向かってせり上がるリアクオーターパネルなどスポーティなデザインを取り入れた従来モデルは、「優れた走行性能」を特長のひとつとして謳い、秀でた走行安定性を持ち合わせていた。確かにスポーツモデルで名を馳せた日産らしい個性だが、ユーザーがスーパーハイトワゴンに求める性能とズレがあったのかもしれない。
その従来モデルと比べると新型は水平基調で直線的・・・でも線の先にある角を丸くすることで2代目キューブのような、親しみやすさや可愛らしさといった要素を詰め込んだデザインに仕上げられている。ヘッドライトやアウタードアハンドル部の窪み、ヘッドレストやメーター表示など、「かどまる四角」を採用して統一感も演出している。こうしたデザイン性はボディラインも同様で、ボクシーなシルエットを作り出す。
さらにフロントピラーの4本を立たせて、Aゼロ(最前方の)ピラーのトリムをスリムに、フロントクオーターガラスの面積を拡大し、ルーフライニング前端部を上方へ向かって傾斜させるなど、運転席からの視界の広さと開放感が高められている。アイポイントの高さも相まって「見えルークス」のキャッチコピーが伊達ではないことを体感できるはずだ。

ボディラインをシンプルに見せるためあえてルーフスポイラーは採用されていない。ディーラーオプションで用意される。
もうひとつ、特筆すべき点は着座姿勢の気持ち良さだ。身体への負担がもっとも少ないと言われる、少し猫背にした「無重力状態で脱力した姿勢」を保つゼログラビティシートを採用することで、ロングドライブでも疲れ知らずのフロントシートとしている・・・が、実はこれ、従来モデルから採用されているもの。
新型での進化のポイントは、ソファでくつろぐような快適性を後席乗員にも味わって欲しいと、リアもゼログラビティシートとしつつ座面内部の素材を高密度ウレタンに変更、クッション性とフィット感を高めたのだ。表層は柔らかいものの、沈み込むとじわっとした硬さがある、低反発クッションのようなモチモチとした感触が気持ち良く、振動も吸収してくれる。またサイドサポート形状も取り入れてホールド性も高め、走行中の快適性を重点的に向上させる仕様としている。

ゼログラビティシート&高密度ウレタンを採用した新型ルークスの後席。「後席の方がコストかかってます」とは開発者の言葉。
