小さな変更が大きな進化を与えるスポーツモデル
SLS以来続いてきたトランスアクスルは一般的なFRレイアウトへと変更されたものの、その空いたスペースはモーターユニットが占め、電動化対策に活かされた。
F1譲りのエレクトリックドライブユニットはアクティブ4WDの駆動システムの影響を受けることなくダイレクトに電動パワーをリアに伝達でき、ドライブモードの「スポーツ+」「レース」においては積極的に電力回収を行うことで、電池に蓄えられたパワーを無駄なく上乗せさせる。
300km/hからのブレーキングでは、やはり緊張が走る。姿勢が崩れぬようにアクセルペダルからブレーキペダルへ、そっと足を移動させ、最初は軽く、そして安定していることを確認してから、さらに強く踏み込む。この一瞬のためらいの間にもGT63 SEは減速Gを滑らかに発生させた。そしてフルブレーキング時にはカーボンブレーキが正確なタッチで反応し、一気にGを強めていく。

100km/hを超える高速コーナーではGT63シリーズで標準装備される「リア・アクスルステアリング」は同位相操舵となりスタビリティ向上に寄与される。
初期の減速から急激に立ち上がったGに対して「今何かしましたか?」という同乗者からの声に、その一瞬の間にも回生が働いて減速感を生んだことを再認識した。
「革新」と「信頼」をこれまで培ってきたトランスアクスルを排し、電動化へと躊躇なく進み、F1で培ったノウハウを惜しみなく投入。結果、異次元の速度領域へと容易に導くと同時に、安定した姿勢を保ちながら、溢れるパワーを回生と強靱なブレーキシステムが平時へと導いていく。隣に乗る担当者があのように冷静に問いかけてくることこそが、平時の証左。革新的技術とそれに裏打ちされる走りへの信頼。妥協を許さないAMGの姿勢である。
