テストランで見出された、エンジンの高性能と印象的な個性
大型のステアリングホイールは適当な太さで、長時間の運転でもグリップが楽な形状で、殊に箱根などのワインディングロードを操り換えしている時などは、その特徴を強く感じた。
ステアリングはZF Gemmer式(注:ウォームアンドローラー式)で操向比は17.58であるが、想像以上に鋭く感じられたのは、後述のサスペンション機構に負うところが大きい。
この車でスポーツ性の強く出ているのは中央のトンネルよりつき出たフロア・シフトレバーで、ドイツの代表的スポーツカー ポルシェのものとそっくりである。英国式の短いものではなく、床からつき出た太いレバーは長く、グリップも大きなものがついている。
実はこのシフトレバーだけでなく、シンクロメッシュ4速のトランスミッション全体がポルシェと同じ(ZF)ものであることがわかった。シフトパターンは、H型の4速の左向側にレバーを押し下げることでRに入る。

ステアリングはZF Gemmer式のウォーム&ローラー式、ステアリングギアの減速比は15.5:1と低い。
ドイツ式のリモートコントロールが指先でシフトするようなタッチだとすれば、ドイツ式のフロアシフトはほとんど力まかせにシフトするような、パターンの大きな弾力性の強いものと表現することができる。
このシフトレバーもその代表的なものでしっかりと握って力強く正確にシフトする必要があるが、ゴムのような弾力のある手ごたえで、どんな場合でも確実にギアを入れることができる。シンクロメッシュが極度に強いので、中途半端なシフトをするとレバーがはね返されてしまうほどの手ごたえが感じられる。しかもリアエンジン車のような感覚があり、運転中何度もそのような錯覚を経験した。
この車の高性能の秘密は、水冷4気筒OHCエンジンでわずか1499cc(ボア×ストローク:82×71mm)よりSAE90PS/5900rpmを出している。最大トルクは比較的おさえて12.5kgm/3200rpmの出力をもっているのはオーバーヘッドカムシャフトと、8.8:1の高い圧縮比を持った燃焼室による高回転により得られるもので、6000rpmに達する高回転エンジンを持つセダンはあまり例がない。

エンジン部。水冷直列4気筒OHVでヴァルブはローラー・チェーンで駆動される10HC型。ボア・ストロークは82×71mmのオーヴァースクェア型。気筒1499cc、圧縮比8.8:1で最大出力80(DIN)PS/5700rpm、最大トルク12mkg/3000rpmとなっている。

