Hondaのグローバルマザー工場が熊本製作所である。1976年の操業開始から50周年を迎えたここは、Hondaの国内最大規模の敷地面積を持ち、二輪車に加え、パワープロダクツを生産している。
今回は、二輪・パワープロダクツ事業本部の品質を管理する山川さんと組立の責任者の三鶴さんに話を聞いた。(連載第20回 もうひとつのHONDAパワー/Motor Magazine2026年4月号より)

人口の減少、高齢化が加速する日本では、パワープロダクツの果たす役割は大きい

画像: 国内4番目に操業したHondaの熊本製作所。敷地面積は国内事業所の中でもっとも広く、東京ドーム約36個分となる。

国内4番目に操業したHondaの熊本製作所。敷地面積は国内事業所の中でもっとも広く、東京ドーム約36個分となる。

千葉 最初に熊本製作所のことを教えてください。

山川隆義さん(以下、山川氏) ここは国内の事業所で最大の敷地面積を持ち、唯一、二輪車とパワープロダクツを生産しています。操業開始は1976年で、2026年に50周年を迎えました。船外機を生産する細江船外機工場も熊本製作所の管轄です。

千葉 山川さんは、ここでどのようなことをされているのですか。

山川氏 試作や量産前に不具合を発生させないためのチェックや、量産後も品質を維持するように管理しています。品質は絶対に譲れないところです。

三鶴裕晴さん(以下、三鶴氏) Hondaのパワープロダクツは、生活必需品や発電機などです。除雪機のような季節製品はシーズン終了後から次の使用まで期間が空いても一発で始動する必要があります。

画像: 1976年1月操業を開始、今年1月に50周年を迎えた。従業員数は約4000人、パワープロダクツ9万台/年の生産能力を持つ。

1976年1月操業を開始、今年1月に50周年を迎えた。従業員数は約4000人、パワープロダクツ9万台/年の生産能力を持つ。

千葉 除雪機だと、どのくらいの使用年数を想定していますか。

三鶴氏 10〜15年を想定しています。基本的にお客さまに必要とされる性能が発揮できていれば、買い替えの必要はありません。

千葉 熊本製作所では、年間で何機種の製品を生産していますか。

山川氏 ニーズに応えるように改良された派生製品もありますので、それこそ数えられないほどあります。2024年度のデータですが、熊本製作所は約28万台のパワープロダクツを生産しました。ちなみにグローバルの販売実績は約370万台です。Hondaの四輪車の販売台数が371.6万台なので四輪車とパワープロダクツはほぼ同じ台数を販売したことになります。二輪車の販売は、2057.2万台なので四輪とパワープロダクツを合わせても敵いません。

画像: 「役立つ喜び、もっと広げたい。」という創業者 本田宗一郎氏の想いが強く受け継がれているHondaのパワープロダクツ事業。

「役立つ喜び、もっと広げたい。」という創業者 本田宗一郎氏の想いが強く受け継がれているHondaのパワープロダクツ事業。

パワープロダクツは、人の役に立つのが最優先である

千葉 二輪車とパワープロダクツ事業が統合されたことで、熊本製作所にも変化はありましたか。

三鶴氏 除雪機も熊本製作所で生産されますが、これは季節商品で5月から11月の期間に生産、12月以降は二輪車の生産に移れますので、そうしたところもメリットです。人の交流やコミュニケーションも増えましたし、またエンジンがどちらも小型なので二輪車とパワープロダクツでは、統合するメリットは多いと思います。工場内も二輪車のラインと混流できるので、スペースを効率的に使えます。

画像: Hondaに入社して4年ほどだという江崎舞さん(写真左)。若干24歳と若い人が活躍している姿が印象的だ。江崎さんは、約2年前からこのラインの責任者を任されているが、三鶴さんやスタッフとのコミュニケーションを大切にしているという。

Hondaに入社して4年ほどだという江崎舞さん(写真左)。若干24歳と若い人が活躍している姿が印象的だ。江崎さんは、約2年前からこのラインの責任者を任されているが、三鶴さんやスタッフとのコミュニケーションを大切にしているという。

千葉 これだけパワープロダクツの製品が多岐にわたると、その品質管理だけでも大変ですね。
山川氏 大変ですし、責任も重大です。私の仕事が暇だということはHondaにとっても使う人にとっても良いことなんです。私が忙しいのはパワープロダクツにとってあまり良い状況ではありません。
千葉 除雪機もそうですが、ほかのパワープロダクツは、今後、すべて電動化されるのですか。
山川氏 Hondaのパワープロダクツは人の役に立つのが最優先なので、何が何でも電動化というわけではありません。価格が上がり、大きく重くなるのは本末転倒、困っている人を助けるのが困難になってしまいます。

千葉 生産ラインでは女性も多く、年齢層も幅広い多くの人が働いていましたね。三鶴さんがつねに気にかけていることはありますか。
三鶴氏 大切なのは、いかに小さな変化に気づけるかです。ふだんから声をかけて、いつもと違うことは気にかけるようにしています。
千葉 ありがとうございました。

パワープロダクツ部門で社会貢献がしたい人が増えている

日本の人口が減少、そして高齢化、労働力が減る中で、パワープロダクツの役割は今後、さらに重要になる。そんな生産の本拠地、熊本製作所を取材してとても印象的だったのは、多くの人の手で製品が作られていること。また最近は、本田技研工業に入社した人の中に「社会貢献がしたい」という理由でパワープロダクツ部門への配属希望が増えているという。

これは創業者 本田宗一郎氏の「技術で人の役に立つ」という想いが、世の中に広く認知されたからに他ならないだろう。また生産ラインで働く多くの人が笑顔なのも、仕事が人に役立っているという想いが強いからなのだ。そんな人たちを見てHondaのモノづくりの素晴らしさが感じられた。(写真:井上雅行)

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