伝説として始まり、革新へと至ったスーパーカーたち。1970年代の懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまで紹介していこう。今回は、ブガッティのハイパースポーツ第2弾として2016年に発表された「シロン」だ。

ブガッティ シロン(BUGATTI CHIRON:2016〜2021)

フォルクスワーゲン グループ傘下のブガッティ オトモビルが、2000年に発表したヴェイロンに次ぐ、ハイパースポーツカー第2弾として「シロン」をワールドプレミアしたのは、2016年のジュネーブ モーターショーだった。その車名は、黎明期のブガッティを駆って活躍したレーシングドライバー、ルイ・シロンに由来する。

スタイリングはヴェイロンのそれを進化させながら、第1世代のブガッティ タイプ57クーペ アトランティークなど往年の名車をデザインのモチーフに取り入れた気品あるもの。ボディサイドの「C」カーブも特徴的で、これはW型16気筒という巨大なエンジンの熱を効果的に冷却するためのエアインテークにもなっている。

画像: 全長は4.5mあまりと比較的コンパクトだが、全幅は2mを超える。ブレーキは前8ポット/後6ポットだ。

全長は4.5mあまりと比較的コンパクトだが、全幅は2mを超える。ブレーキは前8ポット/後6ポットだ。

シャシはレーシングカー並みの剛性を誇るフルカーボン構造だ。ボディの外板にはマグネシウム合金も採用されるなど、さまざまな軽量化が図られてはいるが最高速400km/hオーバーのスペックを達成するために、車両重量は1995kgとヴェイロンより100kg以上も重くなった。

2000年代初頭にヴェイロンが登場したとき、最高出力1001psで最高速400km/hオーバーという性能はいささか空想的に思えたし、実際問題として量産化は難航した。ところが、それから15年ほどの年月を経て発表された後継車たるシロンは、それに懲りるどころか、最高出力を1.5倍の1500psにまで増大されている。しかも、W16 DOHCに4基のターボを装着するというエンジンの基本構成を変えることなく、これを成し遂げたのだった。

公称の最高速は420km/hを上限とされているが、タイヤさえ耐えられるのなら、さらにもう数10km/hは伸ばせると見られている。市販車最速を目指したこのスーパースポーツは、2019年に304.77mph(約490.5km/h)を記録している。ちなみに、スピードメーターは500km/hまで刻まれている。

1500psという最高出力はまるでドラッグレーサーのような数値ではあるが、シロンは文化的で公道を普通に走行する能力と完成度を誇る市販車両だ。計り知れない速さと超豪華さを併せ持つモンスターマシン、シロンは全世界500台限定で生産され、2021年に生産を終了した。車両価格は260万USドルもしくは240万ユーロ(当時のレートで、およそ3億円)とされていた。

画像: インテリアの雰囲気はドイツやイタリアのスーパースポーツカーとは異なり、明るくきらびやかな設えとなっている。

インテリアの雰囲気はドイツやイタリアのスーパースポーツカーとは異なり、明るくきらびやかな設えとなっている。

ブガッティ シロン 主要諸元

●全長×全幅×全高:4544×2038×1212mm
●ホイールベース:2711mm
●車両乾燥重量:1995kg
●エンジン種類:W16 DOHCクワッドターボ
●総排気量:7993cc
●最高出力:1500ps/6700rpm
●最大トルク:1600Nm/2000-6000rpm
●燃料・タンク容量:無鉛プレミアム・100L
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:縦置きミッドシップ4WD
●タイヤサイズ:前285/30ZR20、後355/25ZR21

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