2026年8月23日(現地時間)、オランダ西部のザントフォールト・サーキットで開催されたF1第12戦オランダGPにおいて、怪我を負ったアイザック・ハジャーの代役としてレッドブルレーシングからリアム・ローソンが出場、レーシングブルズのローソンのマシンに角田裕毅が乗り込んだ。角田はポイント獲得にはわずかに届かなかったものの、F1パドックに存在感を示す走りを披露した。

セッションを重ねるごとにペースを上げるパフォーマンスを披露

2026年シーズンで再び角田裕毅がF1のシートを手にするのは難しいと思われていた。

レッドブル陣営には、F2選手権シリーズランキング首位のニコラ・ツォロフをはじめ才能ある若手が控えているため、角田がF1復帰への道筋を見つけるのは容易ではない。それでも、今回の出走では、現在F1のシートを持たないドライバーの中で、最も経験豊富で実力のあるひとりであることを改めて印象づけた。

オランダGPへの出走が決まったのはレース直前。レーシング・ブルズのマシンをシミュレーターで試すことができたのは、レース直前の水曜日になってからだった。それでも、多少なりとも準備期間を確保できたことは大きかった。

実際にマシンに乗り込んだのは、オランダGPが開幕した8月21日金曜日。わずか1時間のフリー走行を終えると、すぐにスプリント・シュートアウトへ。

角田はSQ1で13番手、SQ2で12番手となり、レッドブルに昇格する形となったリアム・ローソンのすぐ後ろにつけた。重要だったのは、チームメイトのアービッド・リンドブラッドとの差が0.360秒だったこと。角田にとって不慣れなマシンだったことを考えれば悪くない結果だった。

土曜日のスプリントではフランコ・コラピントに順位を奪われ、スタートグリッドからひとつ順位を落として、13位でフィニッシュ。それでも多くの有益なデータを得ることができた。スタート直後にはチームメイトのアービッド・リンドブラッドと接触する場面もあったが、幸いレーシングブルズの2台はとも大きな影響を受けずに済んだ。

スプリントは決勝に向けた重要なトレーニングにもなったという。「24周のすべてのラップで学ぶことができました。そして、その経験を今回の予選で示せたと思います。セッションを重ねるたびに、どんどん近づいていきました。もう1セッションあればよかったと思います」

そして迎えた本戦レースの予選。角田はQ1で8番手につけ、Q2ではスプリントに続いて12番手。決勝でも12番グリッドからスタートすることになった。さらに、チームメイトとの差は0.102秒まで縮まり、セッションを重ねるごとにペースを上げていることが明確になった。

角田は予選後、こう語っている。「すごく楽しめました。昨日のスプリント予選も悪くなかったですが、まだマシンの限界がどこにあるのかわかっていませんでした。でも今回は決勝の予選ではマシンをもっと信頼できるようになり、コーナーにマシンを思い切り突っ込めるようになりました。正直、この感覚が恋しかった。最後の数ミリ秒を追いかける感覚です。すごく楽しんでいます」

画像: レーシングブルズからスポットで出走した角田裕毅。オランダGPへの出走が決まったのはレース直前。それでも高いパフォーマンスを示した。

レーシングブルズからスポットで出走した角田裕毅。オランダGPへの出走が決まったのはレース直前。それでも高いパフォーマンスを示した。

一度きりの代役出場で存在感を示したが、来季のシート獲得は不透明

決勝でのレーシングブルズの最大の課題は、ライバルであるアルピーヌに対してポイント差を広げる
ことだった。ところが、オープニングラップでマックス・フェルスタッペンとガブリエル・ボルトレトが絡んだクラッシュの中、チームメイトのリンドブラッドとアルピーヌのフランコ・コラピントはイエローフラッグ下での追い越しにより、それぞれドライブスルーペナルティを受けた。さらに、リスタート後に予定外の早いピットストップを強いられたことで、2台ともポイント争いから脱落してしまった。

その結果、アルピーヌとのポイント争いは、角田とかつてのチームメイトであり友人でもあるピエール・ガスリーとの間で繰り広げれることになった。そして、ふたりによるバトルは、レースの大部分にわたって続くことになった。

リンドブラッドはタイヤ交換を遅らせてアルピーヌ勢を後方に抑えようとしたが、最終的にはガスリーのほうが速く、ガスリーが角田をかわして10位を獲得し、最後の1ポイントを手にした。角田は11位に終わり、ポイント獲得はならなかった。

今回の週末について角田は「レッドブルに感謝しています。シミュレーターなどを使って、僕が良い状態を維持できるようにしてくれました。予想していたよりも早く成長できたと思いますし、ポイントを獲得できなかったのは残念ですが、最後の数周までトップ8、トップ9を争うことができました。状況を考えれば、うまくやれたと思います」と振り返る一方で、学ぶべきことが多かったことも認めている。

角田が来季シートを獲得できる可能性は、F1に残されたシートそのものが少ないことを考えれば、依然として高くはない。それでもオランダGPを終え、角田の立場は週末を以前より明らかに良くなった。来季のシートが巡ってさまざまな動きがある中、角田は新しいレギュレーションに対応できるドライバーであること、そしてすぐにでもF1に戻る準備ができていること、そしてパフォーマンスがあることを示した。

画像: 決勝では、レーシングブルズとアルピーヌが激しいバトルを展開。最後の1ポイントを争った。

決勝では、レーシングブルズとアルピーヌが激しいバトルを展開。最後の1ポイントを争った。

画像: レース後、9位に入賞したフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)が駆け寄り、角田の健闘を讃えるシーンもあった。

レース後、9位に入賞したフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)が駆け寄り、角田の健闘を讃えるシーンもあった。

画像: オランダGPのタイヤ戦略。再スタート後のスティントを終えるころには、各チームは1ストップ戦略では競争力を維持できないことをすぐに理解。のマシンの長所を最大限に引き出すため、角田はソフト→ハード→ソフトの実質2ストップ戦略をとった。

オランダGPのタイヤ戦略。再スタート後のスティントを終えるころには、各チームは1ストップ戦略では競争力を維持できないことをすぐに理解。のマシンの長所を最大限に引き出すため、角田はソフト→ハード→ソフトの実質2ストップ戦略をとった。

2026年F1第12戦オランダGPスプリント 結果  

1位 63 G.ラッセル(メルセデス)24周[8]
2位 16 C.ルクレール(フェラーリ) +1.360s[7]
3位 1 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+5.196s[6]
4位 12 K.アントネッリ(メルセデス)+5.581s[5]
5位 81 O.ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)+10.185s[4]
6位 3 M.フェルスタッペン(レッドブル・RBPTフォード)+10.529s[3]
7位 44 L.ハミルトン(フェラーリ)+12.180s[2]
8位 10 P.ガスリー(アルピーヌ・メルセデス)+42.510s[1]
────────────
13位 22 角田裕毅(レーシングブルズ・RBPTフォード)+56.483s
※[ ]=獲得ポイント

2026年F1第12戦オランダGP決勝 結果

1位 1 L.ノリス(マクラーレン)72周[25]
2位 12 K.アントネッリ(メルセデス)+11.536s[18]
3位 63 G.ラッセル(メルセデス) +15.906s[15]
4位 44 L.ハミルトン(フェラーリ)+16.755s[12]
5位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+17.258s[10]
6位 81 O.ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)+32.332s[8]
7位 30 L.ローソン(レッドブル・RBPTフォード)+1m19.915s[6]
8位 24 N.ヒュルケンベルグ(アウディ)+1周[4]
9位 14 F.アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)+1周[2]
10位 10 P.ガスリー(アルピーヌ・メルセデス)+1周[1]
────────────
11位 22 角田裕毅(レーシングブルズ・RBPTフォード)+1周
※[ ]内は獲得ポイント

2026年F1コンストラクターズランキング(第12戦終了時)

1位 メルセデス 425
2位 フェラーリ 338
3位 マクラーレン 263
4位 レッドブル 186
5位 レーシングブルズ 66
6位 アルピーヌ 63

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