※ここではHonda=本田技研工業株式会社と、ホンダ太陽株式会社=ホンダ太陽と表現をわけて記載しています。
農業を、誰もがかかわれる仕事に。ホンダ太陽の知見が活かされる
Hondaが農業へ挑戦する。興味深いニュースである。Hondaには二輪、四輪の他にパワープロダクツがあり、耕耘機や草刈り機、汎用エンジンを揃えるので、それも自然な流れだと思うのだが、今回は、本田技研工業の特例子会社、ホンダ太陽が行う挑戦である。

「ENOWA FARM」内に新設された「Honda Sun× ENOWA FARM LAB」は車いすでも出入りしやすいよう工夫されている。
「誰もがかかわれる農業」を実現する実証拠点として「Honda Sun × ENOWA FARM LAB」が、大分 由布院で始まった。これは身体的な負担が大きい農業を限られた人だけが担う仕事にするのではなく、多様な人がかかわれる仕事へと再設計していく場だという。
このプロジェクトに、ホンダ太陽や大分でENOWA YUFUINというオーベルジュを開業する平川氏がかかわっている。
まずはホンダ太陽とはどのような会社なのだろうか。

Honda内の障がい者雇用の中心となるホンダ太陽。車いすが雨に濡れないよう、通路に屋根をかけるなど配慮されている。
太陽の家の創設者中村裕博士と本田技研工業の創業者本田宗一郎の出会いが原点
ホンダ太陽は1981年、大分県別府市に設立され、のちに日出町に本社を移転。原点は、1965年に整形外科医の中村裕博士が別府市に設立した日本初の障がい者就労支援施設「太陽の家」である。
その後、オムロンの創業者 立石一真氏がオムロン太陽、ソニーの創業者 井深大氏がソニー太陽を設立、Hondaは1978年に本田宗一郎氏が井深氏の誘いを受け「太陽の家」を訪問、中村裕博士と出会ったことが始まりだった。

ホンダ太陽(本社第一工場):大分県日出町に本社があるホンダ太陽は、他に別府市、埼玉県和光市に事業所を構え、従業員数396名(2026年4月時点)、内障がい者は238名で全体の60%を超える。
太陽の家を訪問した本田宗一郎氏は、「おい、どうしてだ、涙の奴が出てくるよ」「やろう、ホンダもこういう仕事をしなきゃだめなんだ」と、ホンダ太陽の設立が決まったという。
ホンダ太陽は、現在、本社のある大分県日出町のほかに別府市、埼玉県和光市に事業所を構え、従業員数は396名(2026年4月時点)、うち障がい者は238名、60.1%となる。在籍者の年齢層は10代〜60代まで、出身地は北海道から鹿児島まで全国に広がっている。また本田技研工業、本田技術研究所とは、不可分一体の関係にある。

ホンダ太陽の事業は二輪車、四輪車、パワープロダクツの部品組み立て、購買代行、各種データや記念品作成など多岐にわたる。

通路は車いすが通りやすい幅を確保し、さらに有事のときに聴覚障害のある人に情報を伝えるパトランプも設置される。

工場やビジネス棟の机、さらに食堂のテーブル、トイレの洗面台など車いすで使いやすい高さの70cmに統一されている。

障がい者が働きやすい職場環境づくりをホンダ太陽が長年にわたり作り上げてきている。

二輪、四輪、パワープロダクツ、つまりHondaの製品すべてにホンダ太陽はかかわっている。

デスクの高さ、通路の広さなど障がいがあっても働きやすく、車椅子が通りやすくなっているオフィス。

ホンダ太陽の障がい者雇用の知見は、コンサルティング業務などにも活かされている。
創業者 本田宗一郎のひと言からホンダ太陽は設立された
社是は、「わたしたちは、社会から存在を期待される企業として、絶えざる創意工夫により高品質な物創りを通じて、豊かな人間社会の実現に寄与する」であり、基本理念は「〜何より人間〜夢・希望・笑顔」(We are the Creative Challengers.)である。

駐車場は、前向き/後向きで交互に駐めるのが特徴。これも車いすでクルマへの乗り降りしやすくするようなアイデアだ。

トイレのスペースも広くとられ、取っ手は車椅子に乗っていてもでも握りやすいように配置されるなどの工夫が見られる。

太陽の家の創立者中村裕博士とHondaの創業者本田宗一郎氏の「障がい者の社会的自立を促進」を基本理念としている。

△印でクルマを駐める向きが表示されているホンダ太陽の駐車場。

洗面第の高さも車椅子で使いやすくされている。

車椅子からも使いやすいような工夫が随所にみられる。
この世に障がい者という人種はいない。また同じ人はひとりもいない。人にはそれぞれ他にない固有の素晴らしい持ち味がある。その違いを認め合う中に、ひとりの人間としての自立が生まれる。
夢は「一人ひとりが自分の人生の主役となれる社会を築き上げること」 、希望は「世界のモデル工場になること」、笑顔は「共に働き、共に遊び、よき仲間を得ること」としている。
