昭和を駆け抜けた和製スポーツモデルたち。その勇姿を、モーターマガジン社の70年以上にわたる取材記録や当時の写真を基に紹介しよう。今回は、1965年に発売された、日産 シルビア(初代)だ。

高価格と2シーターがネックで生産台数はわずか554台に

昭和39年から40年にかけて、日本ではスポーツタイプのクルマが相次いでデビューしている。シルビアはフェアレディ1500(SP310)の高級クーペ版といった性格を持っていたが、当時の状況を考えれば、そのベースになったのがSP310であることは言うまでもない。

エンジンはG型のボアを7.2mm拡げ、ストロークを7.2mm縮めたショートストロークのR型で(ボア87.2×ストローク66.8mm)、排気量は1595ccとなっている。吸排気マニフォールドの形状を変えて吸排気の流れを改善し、ビッグエンドメタルにF770合金を使用するなどの手を加え、圧縮比は9.0、SUキャブレターを2連装して最高出力は90ps/6000rpm、最大トルクは13.5kgm/4000rpmを発生した。かなりの高速タイプといってよい。

画像: ドライビングポジションは低く、スポーティなムードのコクピット。間違いなく手造りの高級感にあふれていた。

ドライビングポジションは低く、スポーティなムードのコクピット。間違いなく手造りの高級感にあふれていた。

4速マニュアルトランスミッションは、ポルシェタイプのボークリング式フルシンクロタイプである。クラッチもコイルスプリング式から、ダイヤフラムスプリング式に変えて強化を図り、圧着面の表面積も拡大されている。シャシはSP310(後にSP311)とほぼ同一のX字補強メンバー付きのラダータイプで、前輪はダブルウイッシュボーン/コイル独立懸架、後輪はリジッドアクスル/半楕円リーフスプリングの組み合わせと常識的なレイアウトとした。前輪には、ダンロップのMKII型ディスクブレーキが装着された。

車両価格は発表当時でも120万円と、SP311(1600)が88.6万円、セドリック スペシャル6(ベースモデル)が115万円であることを考えると、かなり高価なモデルだった。当時、世界のスポーツGTカーが2+2座モデルを競って発表しているとき(ジャガー Eタイプ、MGBなど)、2座のシルビアはやや性格があいまいなクルマという評価もあり、結局その総生産台数は554台にとどまった。しかし、各メーカーが量産体制の整備に血まなこになっていたこの時代、あくまでも美しさを求めたシルビアには、逆説的な存在価値があったとも言える。

画像: 5代目となるS13型シルビア(右)と。S13型が発売されていた平成初期の物価に換算すると、初代シルビアは約650万円に相当する。

5代目となるS13型シルビア(右)と。S13型が発売されていた平成初期の物価に換算すると、初代シルビアは約650万円に相当する。

日産 シルビア(初代) 主要諸元

●全長×全幅×全高:3985×1510×1275mm
●ホイールベース:2280mm
●車両重量:980kg
●エンジン:直4 OHV
●総排気量:1595cc
●最高出力:90ps/6000rpm
●最大トルク:13.5kgm/4000rpm
●燃料供給装置:SUキャブ×2
●トランスミッション:4速MT
●駆動方式:FR
●タイヤサイズ:5.60-14
●当時の車両価格:120万円

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