文:Webモーターマガジン
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新たに開発された5.5L V型8気筒自然吸気「M152」
欧州各メーカーがエンジンのダウンサイズを行っているのは周知の事実で、近年はEセグメントの4気筒直噴ターボ搭載も珍しくはない。そうしたうねりはハイパフォーマンスモデルを作るセクションにも及んでおり、AMGはいま、エンジンの改革時期に突入している。
この6年間AMGの主力を担ってきたのは「M156」と呼ばれるV型8気筒だ。自然吸気/大排気量/高回転が特徴で、6208ccながらAMGのマジックナンバーである「63」の名称で呼ばれた。これまでAMGの各モデルに搭載されてきたが、環境性能向上の要求値はますますレベルアップしているようで、AMGはその回答として「M156」の後を担う「M157」を開発した。これはスプレーガイド式の最新直噴システムを備えている5461ccのV型8気筒DOHCツインターボで、「M156」を上回るパフォーマンスを実現しつつ、ダウンサイズとオルタネーター制御、オンデマンド式オイルポンプ、アイドリングストップの採用で環境性能も大幅に引き上げた。
ただし、AMGはこの「M157」を搭載するモデルも「63」と呼んでいるため、現在のAMGラインナップには「M157」と「M156」が混在している。ちなみに現在、新世代の直噴ターボである「M157」を搭載する「63」はE/S/SL/CL/CLSの5モデル。それ以外のCとMLは6.2L自然吸気エンジンを搭載する「63」である。

デュアルツインクロームエグゾーストエンドがリアビューを引き締めている。
前置きが長くなったが、今回3代目SLKのAMGモデルに搭載されたのは、そのどちらでもない新エンジンだ。形式名称は「M152」。排気量とボア×ストロークが同一なことから「M157」がベースなのは明白だが、こちらは自然吸気。出力も「63」より控えめな442psであることから、先代と同じく「SLK 55 AMG」を名乗っている。
回すほどに活き活きとしてくるV8ユニットには可変気筒システムも搭載
先代は360psだったから442psは大幅な向上だが、63 AMGの怒濤のトルク感を知ってしまった今ではさして獰猛な感じはしない。とは言え、軽いボディに540Nmの最大トルクだから、もちろん十分に活発だし、レブリミットもAMGらしく7000rpmからと一段高く設定され、回すほどに活き活きとしてくる。加速やブリッピング時に迫力のサウンドを聞かせるスポーツエキゾーストシステムと、相変わらず反応のシャープなスピードシフト7Gトロニックの助けもあって、シャンシャン回して楽しむのが新しい「SLK 55 AMG」の醍醐味と言えそうだ。

搭載されるエンジンは最高出力422ps、最大トルク540Nmを誇る5.5L V8自然吸気“M152”。
さらに、このM152エンジンには可変気筒システムも搭載されている。スピードシフトがEモードの場合、800〜3600rpmの低負荷走行において2、3、5、8番シリンダーの燃料供給をカットし吸/排気バルブとも閉じてポンピングロスを抑えるというもの。4気筒で運転している時も230Nmのトルクがあるので、そこからソロソロと加速も可能だが、ややこもり音が出る領域もある。
とは言え、アクセルペダルをさらに踏み込めば瞬時に8気筒に復帰して軽快な吹き上がりが楽しめるから、これは大きな問題とはならないはず。それよりこの気筒休止採用により、先代から70%以上の燃費向上が図られ、JC08モードで11.2km/Lを実現したというメリットの方が大きい。今やAMGも環境性能抜きには語れないのだ。
今回の試乗車は、LSDや専用スポーツサスからなるハンドリングパッケージを装備しており、ダイレクトステアリングの軽快な切れ味をさらに深く楽しめた。それでいて乗り心地に粗さがないのも、近年のAMGの大きな魅力である。(文:石川芳雄)

ダッシュボードセンターには、IWCデザインによるAMG専用アナログ時計を備えるなど、コージャスなイメージを強調する。
メルセデス・ベンツ SLK 55 AMG 主要諸元
●全長×全幅×全高:4150×1845×1300mm
●ホイールベース:2430mm
●車両重量:1640kg
●エンジン:V8DOHC
●排気量:5461cc
●最高出力:310kW(422ps)/6800rpm
●最大トルク:540Nm(55.1kgm)/4500rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:FR
●JC08モード燃費:11.2km/L
●車両価格(税込):1090万円(2012年当時)




