スーパースポーツで500kmを走ったら、さぞ疲れると思いきや・・・。マクラーレンのPHEV「アルトゥーラ」で、大阪から淡路島、四国を経て広島へ。街中では静かに、高速道路ではゆったりと、山道では心が弾む。2日間の旅で見えてきたのは、700psという数字だけでは語れない魅力だった。

文: 中村圭吾/写真: 平野 陽
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1年ぶりのアルトゥーラ。700psの奥にある魅力を探る

マクラーレンのPHEVスポーツ、アルトゥーラを東京から全国の正規販売店へとつなぎながら、自動車メディアやジャーナリストが走り、そのグランドツーリング性能を体感する。そんな企画で、我々が担当したのは大阪から広島までのロングドライブだ。こんな機会はなかなかないと喜んで引き受けた。

画像: 700psを誇るPHEVスーパースポーツ、マクラーレン アルトゥーラ。その真価を確かめるべく、大阪から淡路島、四国、岡山を経て広島へ。2日間、約500kmを共にして見えてきたのは、圧倒的な速さではない。日常と非日常を軽やかにつなぐグランドツアラーとしての才能だった。

700psを誇るPHEVスーパースポーツ、マクラーレン アルトゥーラ。その真価を確かめるべく、大阪から淡路島、四国、岡山を経て広島へ。2日間、約500kmを共にして見えてきたのは、圧倒的な速さではない。日常と非日常を軽やかにつなぐグランドツアラーとしての才能だった。

アルトゥーラに乗るのは軽井沢での試乗会以来だから、およそ1年ぶりだ。そのときは750SとGTSがメインで、アルトゥーラには少ししか乗ることができず、不完全燃焼気味だったことを思い出した。

今回の試乗車は、見る角度や光によって表情を変えるボディカラーをまとった2026年モデル。表立って仕様変更は謳われていないが、PRマネージャーの八木さんによれば、細かな仕様見直しによって足まわりを中心にさらに洗練されているというから、乗る前から楽しみだった。

PHEVといっても、昨今のスーパースポーツにおける電動化は環境性能だけが目的ではない。3L V6ツインターボとモーターを組み合わせ、システム最高出力700ps、最大トルク720Nmを発生。それでいてマクラーレンの他のモデルと同樣に軽量なカーボンモノコックを採用し、電気だけでも約33kmを走行できる。住宅街では静かに、ひとたびアクセルペダルを踏めばスーパースポーツに変身する。そんな二面性こそアルトゥーラ最大の魅力だ。

身構えて乗り込んだら、意外なほど快適だった

画像: コクピットと呼ぶにふさわしいドライバー中心のインテリア。ステアリングコラムと一体で動く独立式メーターディスプレイと小ぶりな縦型ディスプレイを組み合わせる。ドア開口部から覗くカーボンモノコックに気持ちが高まる。

コクピットと呼ぶにふさわしいドライバー中心のインテリア。ステアリングコラムと一体で動く独立式メーターディスプレイと小ぶりな縦型ディスプレイを組み合わせる。ドア開口部から覗くカーボンモノコックに気持ちが高まる。

さっそくマクラーレン大阪で車両を受け取る。ディヘドラルドアを跳ね上げ、カーボンモノコックに手を添えて乗り込む。外から見ると窮屈そうだが、一度身体を収めてしまえば意外なほど快適だ。体重0.1トンに迫るわがままボディの筆者でも問題ない。前方視界はもちろん、後方視界も良好で、超高額車両ゆえの緊張感こそあるものの、運転そのものに神経を使う必要はない。

1日目は大阪から神戸を抜け、明石海峡大橋を渡って淡路島へ。約200kmのウォーミングアップだ。

まだ夏の暑さが残る晴天の下、空と海の美しさに癒やされながら走る。街中では扱いやすさに驚き、高速道路やワインディングロードでは圧倒的な剛性感とシャシ性能に舌を巻く。やはりマクラーレンはハンドルを握るだけで気持ちがいい。

それにしてもこのカラーリング、とにかく目立つ・・・。

撮影中、高校生くらいの男の子2人組が「(おそらく)カッコいい!」と言いながら遠くからこちらを見つめている。撮影を終え、立ち去る際に思わずカメラマンと一緒に手を振ると、ミラー越しに彼らも笑顔で手を振り返してくれた。こちらまで嬉しくなる出来事だった。

街中ではひっそりと。PHEVの恩恵はこんなところにも

画像: スーパーカーを走らせれば、道行く先々で注目されるのは当然だが、今回のカラーリングはいつも以上に注目度高し。とはいえ、クルマ好きの少年たちを笑顔にするのは、それもまたスーパーカーのチカラだ。

スーパーカーを走らせれば、道行く先々で注目されるのは当然だが、今回のカラーリングはいつも以上に注目度高し。とはいえ、クルマ好きの少年たちを笑顔にするのは、それもまたスーパーカーのチカラだ。

PHEVは我々のような撮影仕事でもありがたい。細かな位置合わせのために何度もクルマを動かすが、そのたびにエンジンを始動する必要がない。当然、住宅街や街中でも周囲を気にせず静かに移動できる。

ドライブモードはエレクトリック、コンフォート、スポーツ、トラックを用意し、パワートレーンとシャシを個別に設定できるのもマクラーレンらしい。もちろんフロントリフターも備わり、実用面で困ることはない。ところが、この旅では700psを思い切り使う場面はほとんどなかった。理由は単純、ドライバーが小心者だからである。

街中ではバッテリー残量があればエレクトリックモードでひっそり走り、幹線道路や高速道路へ出て初めてエンジンに火を入れる。そんな乗り方を繰り返していた。「こんな使い方をするオーナーなんているのだろうか」と思っていたが、後にマクラーレン広島で話を聞くと、アルトゥーラではまさにそうした使い方をするオーナーが少なくないという。

スパイダーに乗り換え、四国経由で広島へ

画像: アルトゥーラスパイダーはリトラクタブル・ハードトップを採用する。最高速度50km/hまでであれば、わずか11秒で電動開閉ができる。アルトゥーラの走りとオープンエアも味わえるなんとも贅沢なクルマだ。

アルトゥーラスパイダーはリトラクタブル・ハードトップを採用する。最高速度50km/hまでであれば、わずか11秒で電動開閉ができる。アルトゥーラの走りとオープンエアも味わえるなんとも贅沢なクルマだ。

2日目は白いアルトゥーラ スパイダーへ乗り換える。淡路島を出発し、大鳴門橋を渡って香川へ。途中、カメラマンが「せっかくだからうどんでも・・・」と言うので高速道路を降りた。

ところが、有名店には昼前にもかかわらず長蛇の列。泣く泣く諦め、瀬戸大橋を渡って倉敷へ寄り道し、撮影を終えたら山陽道で一気に広島を目指した。

高速道路では改めてGT性能の高さを実感する。速度が上がるほどクルマは路面へ吸い付くように安定し、継ぎ目もタンタンと受け流す。高い剛性感のおかげで長距離を走っても疲労感は少ない。

速く走らなくても楽しい。それが何より嬉しい

画像: 今回の旅は橋だらけ・・・兵庫県神戸市と淡路市を結ぶ明石海峡大橋→兵庫県南あわじ市と徳島県鳴門市を結ぶ大鳴門橋→香川県坂出市と岡山県倉敷市を結ぶ瀬戸大橋というルートで走った。

今回の旅は橋だらけ・・・兵庫県神戸市と淡路市を結ぶ明石海峡大橋→兵庫県南あわじ市と徳島県鳴門市を結ぶ大鳴門橋→香川県坂出市と岡山県倉敷市を結ぶ瀬戸大橋というルートで走った。

すると事故渋滞の表示が現れた。単調な高速道路だけでは面白くない。渋滞に入る前に一般道へ降りることにした。

そこからは山道をのんびり流す。エンジンは始動しているが2000rpmも回っていない。本来の性能の数%しか使っていないはずなのに、まったく退屈しない。低速でもギクシャクせず、ハンドルを切れば気持ちよく向きを変え、自然とリズムよくコーナーをつないでいく。

速く走らなくても楽しい。これこそアルトゥーラのGTとしての魅力なのだと思う。

500kmの旅を終えて、ガレージに迎えたくなった

2日間で約500km。大阪から淡路島、四国、岡山を経て広島まで走り切ったが、一度も気負うことなく、戸惑うこともなかった。街中では静かに、高速道路ではどっしりと、ワインディングロードではマクラーレンらしいシャープな身のこなしを見せる。

日常から非日常まで、1台で自然につながっていく。これまでスーパースポーツというと、そのパフォーマンスにばかり目が向きがちだった。しかし、本当にそのクルマの価値が分かるのは、こうした何百kmという旅なのかもしれない。

アルトゥーラなら、きっと人生を豊かにしてくれる・・・。大阪から広島まで走り終えて、キーを返却しながら最後に思ったのは、そんなシンプルなことだった。

こんなクルマをガレージに迎えられる人が、心から羨ましいと思った。

画像: 大鳴門橋を渡るアルトゥーラは、鳴門の渦潮ともコラボ。その壮大な光景にも引けを取らない存在感は、まさにスーパースポーツのもの。700ps/720Nmがもたらす加速は、ただただ痛快だ。

大鳴門橋を渡るアルトゥーラは、鳴門の渦潮ともコラボ。その壮大な光景にも引けを取らない存在感は、まさにスーパースポーツのもの。700ps/720Nmがもたらす加速は、ただただ痛快だ。

マクラーレン アルトゥーラ主要諸元

●全長×全幅×全高:4539×1913×1193mm
●ホイールベース:2640mm
●乾燥重量:1498kg
●エンジン種類:3L V6 DOHCツインターボ+モーター
●システム最高出力:515kW(700ps)
●システム最大トルク:720Nm
●駆動用バッテリー容量:7.4kWh
●駆動方式:MR
●トランスミッション:8速DCT
●車両価格:3310万円

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