モーターマガジン社が2026年9月29日に発行したムック本「SUPERCAR IMPRESSIONS Chronicle(スーパーカーインプレッションズクロニクル)」の中から、一部を抜粋してお届けしよう。今回紹介するフェラーリ365GT4/BBは、スーパーカーブームの中で最速を誇った一台。一般道と箱根を中心に試乗を行っている。

文:飯嶋洋治
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365BBは70年代のフェラーリのフラッグシップとして高い存在感

画像: バンク角180度V12DOHCエンジンをミッドに搭載。当時のフェラーリF1と同形式というのが大きな魅力だった。

バンク角180度V12DOHCエンジンをミッドに搭載。当時のフェラーリF1と同形式というのが大きな魅力だった。

それまでのフェラーリの伝統を引き継いだフロントエンジンの365GTB/4デイトナに続くモデル、それが上級フェラーリ初のミッド・エンジン車、365GT4/BB(ベルリネッタ・ボクサー)である。いうまでもなくBBというだけで通じるほどセンセーショナルなクルマだ。ボクサーとは、フェラーリがレースで使ったDOHCフラット12気筒の別名である。365とはその一気筒当たりの排気量であることもフェラーリの伝統。総排気量は12気筒で4390ccとなる。この市販されたボクサーエンジンは最高出力380ps/7500rpmであり、BBの車重は1160kgであるから1ps当たりわずかに3kgの負担に過ぎない。

画像: インパネはスパルタンながらもレザーを多用して高級感を両立させている。質感と機能性を両立させたコクピットだ。

インパネはスパルタンながらもレザーを多用して高級感を両立させている。質感と機能性を両立させたコクピットだ。

まず、こんなバランスの車が日本の公道で走れるかどうかが最大の興味だろうが、この個体のオーナーが実際に真夏の日曜日にエアコンをつけ放して東名の間殿場から伊豆スカイラインを縦走し一般道路を帰ってきたと聞けば、もう多くの説明を必要としないだろう。正直にいってBBのパフォーマンスを記す前にこの実感をお伝えしておきたい。

威圧的なスペックとは裏腹の扱いやすさが身上

この個体はすでに7000kmばかり走った状態で、きわめて快調な状態であった。もともとアイドルのリーンセットが効きすぎて、低速側でトルクが欠けていたのだが、一週間前に正しく調整され、試乗時には3000rpm以下でも徐行できるだけのトルクが出ていた。車重が軽いとはいえ、この低回転のほどほどのトルクはハイパフォーマンスカーにとって実に重要である。

画像: スーパーカーにありがちのプラグカブりや水温上昇の心配がないのが365BBの美点のひとつ。

スーパーカーにありがちのプラグカブりや水温上昇の心配がないのが365BBの美点のひとつ。

そんなわけで、本当に強烈なトルクが立ち上がる3000rpm以下での走りは、外観から想像する以上に扱いやすく、1〜3速の範囲で市街地走行もできる。クラッチはこのクラスの車としては軽いほうで、ミートも幅があって扱いやすい。問題は、このような走り方をしていても、エンジンがカブる気配も、エアコンをつけ放しても水温はピタリと80℃を保つこと。これは大変素晴らしい設計である。ただ、エアコン使用中はエキゾーストノートすら聞こえないのがもっとも印象的だった。

さて、フェラーリらしい走りについてえば、上限については残念ながらここに記述しにくい。ただ、スピードにしろ、コーナリングにしろ、そのキャパシティは200km/hという水準に達する。直進時の安定性は200km/hを超えたぐらいのところからやっと神経集中が必要なぐらいの空力的影響を受けはじめる。タイヤはミシュランWX215/70VR15だが、低速のときはかえって硬すぎて、滑りを感じるハイスピードでは落ちつく。まず、アウト・ストラーダのようなストレートの多い道ではフラットアウトも容易にできる。

箱根のワインディグでは背中に慣性を感じつつパワーオンで姿勢変化

画像: 高速コーナリングではリアへの荷重配分の大きさから走り方によってはテールが出そうになる。

高速コーナリングではリアへの荷重配分の大きさから走り方によってはテールが出そうになる。

各ギアのスピードは1速87km/h、2速128km/h、3速173km/h、4速225km/h、5速302km/hとなっており、5速の1000rpmでは42.5km/hというハイギアードな設定だ。したがって100km/hの巡航は本来3速あたり気味のものだが、充分5速で2400rpm位で流せる。箱根程度の山道におけるコーナリングキャパシティは3速の100km/h程度であるが、そのようなチャンスはめったにない。ただし、いかにBBが本格派であっても、またステアリングが扱いやすくても、このレベルになるとかなりの熟練とテクニックが必要になる。

フレーム、ボディの剛性は異常なほど高く作られているが、重量配分が43/57とリアが重く、これはリアアクセルの後までかかる長いボクサーエンジンが作用するからだ。そのため、激しいコーナリングでは背中側に慣性を感じるほど。ここからパワーオンにより容易に向きを変えられる。(原文:池田英三)※ここから先は『SUPERCAR IMPRESSIONS Chronicle(モーターマガジン社)をご参照ください。

フェラーリ365GT4/BB主要諸元

●全長×全幅×全高:4360×1800×1120mm
●ホイールベース:2500mm
●車両重量:1160kg
●エンジン:180度V12気筒DOHC
●排気量:4390cc
●最高出力:380ps/7200rpm
●最大トルク:44.0kgm/3900rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:MR

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