わかりやすい進化で競争力はさらにアップ
2015年2月に発表されたマツダのプレミアムコンパクトSUV「CX-3」だが、それから1年も経たない12月に早くも改良が行われた。今回はその改良モデルに試乗できたので進化状況を報告する。ちなみにマツダは、CX-5以降に投入した新商品6車種すべての改良を2016年に行うという。つまり今回のCX-3は、その第一弾ということである。
さて、ポイントはいくつかあるが、見える部分では、要望の多かった「黒革内装仕様をXDツーリング Lパッケージに追加」したこと。ユーザーの選択肢が増えるのは歓迎である。
そして静粛性を向上させるため、従来はオプションだった「ナチュラルサウンドスムーザー」を全車に標準装備した。これはディーゼルエンジン特有のガラガラというノック音を消すためのもので、3.5kHz共振周波数を低減するため同じ周波数のバネの共振体をピストンピンの穴の中に入れノック音を打ち消すようにしたものである。さらにフロントガラスの厚さも3.5mmから0.5mm厚く4mmとし、車外騒音の室内への侵入を抑えている。
またクルマとの一体感も向上させた。マツダはこれを「人馬一体」と表現しているが、この実現のためフロントスタビライザー構造の改良やエンジンのトルク応答を緻密にコントロールする「DE精密過給制御」を採用し、軽負荷領域のアクセルペダル操作に対する反応をよりダイレクトにしているという。
試乗車はCX-3 XDツーリング 4WD。オプションのセーフティクルーズパッケージなどを含む総額は2,970,000円である。ボディカラーは、セラミックメタリック。一番人気のある色である。ちなみにボディカラー別の販売割合(直近の6カ月)は、セラミックメタリック38.5%、ソウルレッドプレミアムメタリック20.2%、クリスタルホワイトパールマイカ14.4%の3色で70%以上を占めている。
試乗時に気にしたのは、静粛性とアクセルレスポンス、乗り心地である。まず静粛性だが、走り始めてすぐにノック音が小さいことに気がついた。今回の改良でCX-3は、プレミアムを謳うに相応しい静粛性を手に入れたと言っていいだろう。
ではアクセルレスポンスはどうか。これがまたかなり自然なフィーリングだ。それは予想したとおりのフィードバックが、クルマから返ってくるということ。アクセルペダルを速く踏み込んだからといって急にトルクが出て飛び出すようなこともなく、踏み込みに見合った素速い加速が、またゆっくり踏み込めばゆっくりな加速を見せてくれる。つまりドライバーの操作意図を理解した反応をしてくれるのである。さらに乗り心地面も、従来は荒れた路面で気になっていた突き上げがかなりマイルドになったという印象で、しなやかさが増したように感じられた。
さて、開発主査の冨山道雄氏は、この改良でCX-3は理想に近づいたと言う。しかしだからといって進化はまだ終わりではないとも付け加えた。年次改良を施し、年々進化させるというCX-3の今後の熟成に期待したい。(文:千葉知充/写真:玉井充)
●主要諸元〈CX-3 XD ツーリング 4WD〉
全長×全幅×全高=4275×1765×1550mm
ホイールベース=2570mm
車両重量=1330kg
エンジン=直4DOHCディーゼルターボ 1498cc
最高出力=77kW(105ps)/4000rpm
最大トルク=270Nm/1600-2500rpm
トランスミッション=6速AT
駆動方式=4WD
JC08モード燃費=21.0km/L
車両価格=2,818,800円
※ボディカラーはセラミックメタリック、オプションのCD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー(32,400円)、セーフティクルーズパッケージ(118,800円)を装着する。