1912年以前のクルマのタイヤは、じつは白かった
その昔、タイヤは白や乳白色だった。1912年、アメリカのグッドリッチが自動車用タイヤにカーボンブラックを初採用。以来、カーボンブラックを使ったタイヤの高性能ぶりが知れ渡り、黒いタイヤが主流となった。つまり、タイヤが黒いのはカーボンブラックを混ぜているからだ。カーボンブラックはゴムの耐久性や耐摩耗性、グリップ向上に大きな効果がある。
![画像: トヨタ博物館に展示される1902年製「オールズモビル カーブドダッシュ」はホワイトタイヤを装着。クラシックカー用タイヤは大手メーカーで製造、現在でも入手できる。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2017/03/08/4d5af46aa22e63cd7856341d8861053a1da1be35_xlarge.jpg)
トヨタ博物館に展示される1902年製「オールズモビル カーブドダッシュ」はホワイトタイヤを装着。クラシックカー用タイヤは大手メーカーで製造、現在でも入手できる。
黒は強い色で、カーボンブラックを少しでも混ぜるとタイヤは黒くなる。カーボンブラックを全く使わなければ黒以外のタイヤを作ることもできるが、カーボンブラックの性能やコストを超える材料はいまだ発見されていない。
低燃費タイヤはカーボンブラックの大部分をシリカに変更している。転がり抵抗低減とウエットグリップを両立しやすいからだが、現状では全量をシリカに変更するより少量でもカーボンブラックを使ったほうが耐摩耗性やグリップは有利だという。
グリップや耐久性を考えるとカーボン“ブラック”が欠かせない
自転車用には白や赤といったカラフルなタイヤが見られる。カーボンブラックを使わず、白いシリカなどを使ってカラーを実現したわけだ。が、これもやはりファッションアイテムの意味合いが強く、グリップや耐久性を重視するロードレーサーなどにはカーボンブラックを使った黒色タイヤが推奨されている。
過去にはサイドに白ゴムを備えたホワイトリボンタイヤが北米を中心に大流行したが、性能上の役割はないということで、石油ショックを機に多くのメーカーが生産から撤退した。近年ではブリヂストンがカラーサイドタイヤの市販化を実現したが、現在は残念ながら販売中止。運搬時に付く黒い汚れをどう防ぐかといった課題もあり、黒以外にするには超えるべきハードルが意外と高いのかもしれない。
![画像: 2013年に発売されたブリヂストンのカラーサイドタイヤ。現在は販売を終了している。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2017/03/08/d32fb0b122b7d0287470f93b3d2ac9a39e0adf47_xlarge.jpg)
2013年に発売されたブリヂストンのカラーサイドタイヤ。現在は販売を終了している。