
「ヴァルキリー」のエンジニアリングは、アストンマーティンとエイドリアン・ニューウェイが率いるレッドブル・アドバンスド・テクノロジーズが中核となって進められている。
あの戦闘機とか、あのゲームのキャラとか、意外に馴染み深い「ヴァルキリー」

スタイリッシュなロゴマーク。「VALKYRIE」と大文字で描かれるようだ。
レッドブル アドバンスド テクノロジーズとの濃厚な協力関係のもと、「AM-RB 001」というコードネームで開発が進められていた新世代ハイパーカーのネーミングは、「Valkyrie(ヴァルキリー)」。もしかすると「どっかで聞いたことあるぞ」と思ったあなたはおそらくはミリタリーマニアもしくはゲームorアニメ好き、映画好きもしくはパチンコ好きかもしれない。
古代ノルド語の“戦死者を運ぶ者”「ワルキューレ」の英語読みとなるヴァルキリーは、北欧神話に登場する半神だ。アストンマーティンによれば戦死者を死後の世界に導く者で、女性的な存在としてイメージされている。アストンマーティン チーフクリエイティブオフィサーのマレク ライヒマンは、「非常に特別なクルマに、特別な名称がふさわしいと考えた」と語る。
The Aston Martin Valkyrie: AM-RB 001 hypercar officially named
www.youtube.com「アストンマーティンが持てるすべての叡智を傾けて製作する、一切の妥協がないクルマです。力と誇りを連想させ、神に選ばれたことを連想させる名称は、示唆に富んでおり、ごくわずかな幸運な方だけが経験できるクルマにふさわしいものです」(マレク ライヒマン)
5つめの「V」は、さらに特別なネーミングとして新たな伝説を作る


6.5L自然吸気V型12気筒エンジンはコスワース、7速パドルシフト付きトランスミッションはリカルド、ハイブリッド バッテリーシステムはリマックなどなど、一流のサプライヤーたちが開発に加わる。タイヤ開発には新たに、ミシュランがテクニカルパートナーとして参加。装着される高性能タイヤ「Pilot Sport Cup 2」のサイズは、フロント:20×9.5J、リア:21×11.5J。
1951年から使われ始めた「Vantage(ヴァンテージ)」が、2005年にモデル名として独立して以来、アストンマーティンは「V」を冠した魅力的な新型モデルたちを作り上げてきた。意味を調べてみると、それぞれに「Vantage」(ヴァンテージ:有利な立場、優位)や「Vanquish」(ヴァンキッシュ:征服する、破る、克服する)など、なかなか立派に上から目線でつけられている。
ローマ神話の火と鍛冶の神「ウルカヌス」を英語読みした「Vulcan(バルカン)」はガトリング砲の代名詞としていかにも勇ましい。さらに「Virage」(ヴィラージュ:フランス語でコーナリングをイメージ)も含めて、これまで4つの「V」カーが、アストンマーティンの伝説を育ててきたと言っても過言ではない。
その歴史に新たに加わった5つめの「V」、ヴァルキリーは、「デザイン、エンジニアリング、パフォーマンスの究極的表現という意味においても、そのドラマ性を完璧に言い表している」と、ライヒマンは説明している。神話では死後の世界へと導く者だが、このハイパーカーが連れて行ってくれるのは、これまで体験したことのない恐ろしく刺激的な走りの世界に違いない。