クルマが一挙に大衆化した1970年代〜80年代。高性能車が続々と誕生し、クーペが若者の憧れだった時代を振り返る期間限定の連載の始まり。今回は日産スカイラインGT-Rと同年の1969年に発売された「R」の草分け的存在、いすゞベレットGTRにスポットを当ててみた。
ベレットは、1963年に登場。当初からレースでも活躍し、1964年4月には日本で初めて「GT」を名乗るベレットGTも発売された。そして1969年10月、満を持して発売されたのが「GTR」である。すでに同年8月には、そのプロトタイプと呼ぶべきベレットGTXが鈴鹿12時間耐久レースで優勝していた。搭載エンジンは、同社が117クーペ用に開発した120馬力の1.6リッターDOHCで、前後サスペンションには強化スプリング&ショックアブソーバを採用。対向2ピストンのフロントディスクブレーキには、ハイドロバックと呼ばれる真空倍力装置が追加されるなど、サーキットで培われた技術がふんだんに盛り込まれていた。ちなみに日本で初めて「R」を名乗った日産スカイラインGT-Rは、1969年2月の発売である。