およそ50年前に生産、販売されていたマツダの名車と最新モデルたち。サイズや操作感は異なるが、設計思想の共通点を発見することができた。今回は全2回に分けて掲載する。
マツダの“レストアプロジェクト”で生まれ変わった2台
東洋工業(現、マツダ)R360クーペといえば、マツダ初の量産四輪乗用車として1960年に発表された軽自動車で、ライバルのスバル360より10万円も安い30万円(4速MT)という、当時としては手頃な価格で販売されたことからも、大ヒットしたモデルだ。手頃と言っても、当時の平均的初任給から現在の価値に換算すると約450万円! メルセデスベンツCクラスやBMW3シリーズを買えそうな価格である。実際のクルマを見たことがあるという読者はかなり少ないのではないだろうか。
もう1台、マツダ コスモスポーツはご存知の人も大きのではないだろうか。世界で初めて量産されたロータリーエンジン搭載車だ。491cc×2ローターのエンジンは当時としては異例の7000rpmまで回る高回転・高出力(110ps)エンジンだった。
実はこの2台、マツダが毎年1台レジェンドカーを復元させる「レストアプロジェクト」で完成させたクルマたちである。このプロジェクトは“マツダ社員はもっと自社のことを知る必要がある”と考えた若手社員からの発案で2013年に発足した。過去の名車にフォーカスすることで、そこに詰まった哲学や思想、価値観などを知り、さらに新しいものを生み出そうという温故知新の考えに基づいているのだという。 次回へつづく