オンもオフも、多用途で多人数
ランドローバーの主力3モデルで急こう配のダートを駆け上がってみると、安定感と駆動力の高さに、改めて4WD王者の貫禄を感じる。その中でも今回フルモデルチェンジを行った5代目ディスカバリーは、従来通りオフでの性能を極めつつも、オンロード性能も進化させ、マルチパーパスモデルとしてのキャラクターが与えられている。
オンロードで試乗してみると、オフでのがっちり感を緩和させるかのような、カドを丸めた乗り味が印象的。フラットな路面でもボディが少々上下するユルーイ印象があるものの、ステアリングを切り込んでいくほどにボディは落ち着き感を増し、すっきり感を出していく。
さらに捻じ伏せるようなコーナリングを行ってみると、背の高さを感じることなくGはしっかりと増していき安定感を確保。攻め込むほどに踏んばり感を高めるあたりに、オフでの骨太なシャシの存在感が目に浮かぶ。 当然、思っている以上に、高速での落ち着き感もあって、確かにオンでの性能進化は大きい。
軽量ボディがすべてに効いている
もちろん伝統的な作りの良さばかりではない。ホイールベースを40mm延長して、大人7人が余裕をもって座れる3列シートを可能にしたにも関わらず、ボディ重量は先代比較で最大、360㎏も軽量化。エンジンも258ps/600Nmをもつ3L・V6ターボディーゼルによって、大柄なボディに気後れすることなく乗り回すことができる。
エンジンの特性的には、ガソリンの3L・V6+スーパーチャージャーの滑らかさに匹敵するばかりか、静粛性の高さは新世代ディーゼルユニットに相応しく、静かで快適。エンジンは甲乙つけがたい。
8速ATとの組み合わせによって小さくステップを踏むことで、高回転域でのパワーの落ち込みを感じることなく加速体制を維持。骨太な乗り味同様に、パワーをしっかりと引き出せる柔軟性によってオン、オフ問わない走りの良さを実感する。
マルチパーパス性能へのこだわりはしっかりと味わえるとともに、使い勝手もよくなったことで、ランドローバー社の中核モデルとして大いに注目できる。
ディスカバリーHSE(ディーゼル)主要諸元
●サイズ=4970×2000×1890mm ●車両重量=2380kg ●エンジン=V6DOHCディーゼルターボ 2994cc ●最高出力=258ps/3750rpm ●最大トルク=600Nm/1750-2250rpm ●JC08モード燃費=11.6km/ℓ ●799万円