ブレーキング時の「路面を掴む感覚」でわかるアイス制動性能
自動車雑誌のタイヤ担当になってから18年もの間、夏/冬問わず新しいタイヤに乗り続けている。
毎シーズン、スタッドレスタイヤの試走会に行き、新しい商品をテストコースで乗るたびに、「もうスタッドレスタイヤとしては、これ以上の進化はムリなんじゃないの?」と思うけど、数年が経ち、同じブランドで新しいスタッドレスタイヤが登場するときには、そんな先代タイヤよりもアイス性能を中心に、確実に性能が上がっている。本当にタイヤメーカーの開発者の熱意には頭が下がる。
ということで、ヨコハマから新たに登場したアイスガード6。従来のアイスガード5プラスも、とくにアイス性能に関してはバツグンで、性能と市場価格を考えると、個人的にイチオシのスタッドレスタイヤだったのだが、そんな従来品に対してアイスの制動性能をさらに15%も向上させたのが特徴だ。
試走会は、ヨコハマの新たなる冬タイヤ開発拠点、旭川市郊外にある北海道タイヤテストセンター(TTCH)にて開催された。ここはもともと旭川競馬場があった場所で、旭川市街からも旭川空港からもアクセスが良い立地。今までヨコハマは、上川郡鷹栖町にある「T*MARY」で冬タイヤを開発してきたが、2016年1月にTTCHがオープン、ここが開発の拠点となった。
実際に先代とアイス路面で比較試乗をしてみると、グググッと路面を掴む感覚が向上しているのが、ブレーキペダルを踏む右足に伝わってくる。これ、何度試しても、従来品よりもアイスガード6のほうが手前で止まった。これはもう、誰でも感じられるレベル。自分が思っているよりも、さらに手前で止まる…という感覚といえばわかるだろうか? とくに札幌など大都市の交差点など、アイスバーンになりがちな場所ではさらなる安心感があるだろう。
「乾いた氷は、滑らない」のキャッチコピーどおり、アイスバーンで滑る原因となるのは、凍結した路面とタイヤの間に発生するミクロの水膜。これを吸水する素材がゴムの中で均一に分散させたことが、アイス制動性能を15%も向上できた要因だろう。
インフラや環境の変化でウエット性能が求められている
アイスガード6の特徴は他にもある。それは「雨のヨコハマ」らしく、ウエット性能を上げていることだ。
「スタッドレスなのにウエット性能?」と思うかもしれない。だが降雪地域での除雪技術向上や、気温上昇などの環境変化で、冬タイヤにもウエット性能へのニーズが高まっているのだ。事実、TTCHでの試走会1日目は、2月の旭川開催にもかかわらず、気温はプラス10℃にも達した。
圧雪路のハンドリングも、前後/横ともにグリップ感が安定していて安心感がある。ヨコハマらしく、素直なフィーリングが身上だ。
そんなアイス性能/ウエット性能向上に加え、夏用低燃費タイヤにも匹敵するころがり抵抗、4年後も性能をキープするロングライフなど、“いま”求められている性能をさらにアップさせたのがアイスガード6なのだ。
■文:ネギシマコト/■写真:横浜ゴム
ヨコハマ・アイスガード6とは?
iceGUARD 6(愛称はアイスガード シックス。製品名はアイスガードiG60)は、2017年9月に発売されたヨコハマの新スタッドレスタイヤ。従来品と比べアイス制動性能15%向上、ウエット制動5%向上、転がり抵抗2%低減、パターンノイズ33%低減…と、全方向での性能向上を果たしているのが特徴だ。