人に寄り添う第3世代
トヨタはかねてよりヒューマノイドロボットの開発を進めており、第1、第2世代は指の動きをプログラミングして楽器を演奏させることなどができた。
第3世代となる“T-HR3”は家庭や医療の場で人に寄り添い、生活をサポートするパートナーロボットとすることを目指した。それにはしなやかな動きを身につけることが大切で、そのためのコア技術として“トルクサーボモジュール”を開発した。
これはトルクセンサー、モーター、減速機などから構成されたもので、好感度トルクセンサーでトルクを関知し、また意図したトルクを出力できるように制御するものだ。
そしてロボットの関節を柔軟に制御してしなやかな動きを実現するとともに、ロボットが外から受ける力を操縦者に伝えることができるようになった。このトルクサーボモジュールは、T-HR3の関節29カ所とマスター操縦システムの16カ所に配置されているそうだ。
これで操縦者はまるでT-HR3が自分の分身であるかのように離れた場所から操作ができるというわけだ。さらにトルクサーボモジュールにより、全身協調バランス制御を実現している。不意に物に接触しても倒れるようなことはないのだ。
トヨタの玉置パートナーロボット部長は「トヨタはクルマだけでなく、様々なモビリティにより“すべての人に移動の自由を”提供することを目指しており、T-HR3もこの想いに沿って開発した」と語る。
自動車メーカーはいま自動運転の分野で鎬を削っているが、その先にはさらに“ヒューマノイドロボット”の開発競争があるのだろう。なお、T-HR3は11月29日から12月2日まで東京ビッグサイトで開催される「2017国際ロボット展」に出展されるそうだ。