スポーティなハンドリングと安定感のある走り
あの独特の世界観に惹かれるファンは日本にも大勢いる。ところが、これほどメジャーでありながら、ここしばらくパッとしていなかったのは否めない。そんなアルファロメオがブランド再構築をかけて新たに開発したフラッグシップとなるスポーツセダンが新生ジュリアだ。
車名は1962年に誕生した初代の復活となり、じつは事情により、日本には登場から約2年遅れて導入されるはこびとなったわけだが、心待ちにしていたファンも少なくないことだろう。
内外装とも凝縮感のあるデザインを見せていて、大きな盾形のエンブレムを備えたマスクは遠目にも存在感があるし、色気に満ちたインテリアも独特の雰囲気を放っている。
機構面では新設計のFRアーキテクチャーをもとに全面的に刷新されているのが最大の特徴。ドライブしてまず印象的なのは、このクラスのセダンとしては異例の俊敏で軽快なハンドリングだ。刺激的なドライビング感覚は競合車とは一線を画する。
エンジンは、性能を200ps/280psと差別化した2L直4ターボと、510psを発揮する2.9LのV6ターボを積む別格的な「クワドリフォリオ」の3本立て。今回紹介するのは2Lの高性能版でスポーティグレードの「ヴェローチェ」だ。
このヴェローチェ、ラグジュアリーグレードの「スーパー」の200psに対するプラス80psの差は小さくなく、瞬発力は抜群で、より伸びやかな吹け上がりを楽しませてくれる。
ダイレクト感があり、DNAドライブモードシステムの「D(ダイナミック)」を選ぶと、より素早くシフトチェンジをこなす8速ATの仕上がりも上々だ。
また、ヴェローチェには「Q4」と呼ばれるオンデマンド4WDシステムが搭載されるのだが、俊敏な中にも落ち着きを感じさせたのは、その恩恵なのだろう。
相変わらずドイツ車が優勢なカテゴリーにおいて、ジュリアもADAS(先進運転支援システム)類の充実度で及ばないのは否めないが、五感に訴えるものはずっと上。ドイツ車にはない、アルファならではの世界観が見事に反映されている。
往年の輝きを取り戻し始めたアルファの渾身の1台である。
アルファロメオ ジュリア ヴェローチェ諸元表
●サイズ=4655×1865×1435mm ●ホイールベース=2820.mm ●車両重量=1670kg ●エンジン=直4DOHCターボ 1995cc ●エンジン最高出力=280ps/5250rpm ●エンジン最大トルク=400Nm/2250rpm ●駆動方式=4WD ●597万円