注目の新エンジンの力量は従来のV8ユニットを超えたか?
ハイブリッドに遅れて LSのガソリンモデルが市場導入された。ハイブリッドをメインとした試乗会ではクローズドエリアでの試乗だったが、今回は大手をふって一般道を闊歩する。レーシングカーではないのだから、やはりこうでなくてはね。
さて、注目はそのエンジンだが、これはまったくの新設計となる。排気量こそハイブリッドに積まれるガソリンユニットとほぼ同じだが中身は別。あちらは十数年前から改良を重ねてきたものでブロックもヘッドも異なる。
なぜなら新エンジンのコンセプトは、従来モデルに積んでいたV8エンジンに代わるものという大命題がある。つまり、パワーもトルクも 8シリンダーを上回る性能を持たなければならない。と同時に、高効率も必須条件。燃費が良くなり二酸化炭素排出量も軽減しなければダウンサイジングの意味がないのだ。
ということで、600Nmのトルクはお見事。しかもかなり低回転から発生させる。で、これに貢献しているのがターボだ。レクサス開発陣はこのエンジン用にタービンを新開発した。羽の枚数や形状、ボディの厚みは NXなどに積まれる 2L・直4ターボとは違う。また、タービンの軸を水冷方式で冷やすクーリングシステムも新しい。こいつは新世代エンジン向けに開発されたものだ。聞くところによると軸の部分は 1000℃近くにも達するらしい。
V6モデルは歴代 LS で最もスポーティだ!
そんなユニットを搭載した走りは、やはりスムーズで滑らか。下からの加速は際限なくどこまでも続くように思える。また、ギアボックスとのマッチングが良いのだろう。フラットトルクとは思えないエモーショナルさもある。とくに、ドライブモードをスポーツもしくはスポーツプラスにするとそれが強まる。騙されたと思ってパドル操作なしでアクセルを踏み込んで欲しい。実にいいタイミングでシフトアップする。一方、パドルでシフトダウンした時のブリッピングサウンドもこの上ない。
これとは逆にコンフォートモードにするとアクセルのクイックさが鈍る。このクラスの古典的なフィールだ。後席に VIPを乗せてのドライブでは当然これもあり!となる。
試乗車は Fスポーツとエグゼクティブがあった。大きな違いは Fスポーツには 4WS が標準装備されている点。これによりコーナリングフィールが変わり、性格の違いがよくわかる。
このようにガソリンエンジンの LSだけ見ると新型がスポーティになったのは一目瞭然。走りを忘れない大人向けに仕上げられている。
レクサスLS500 EXECUTIVE(2WD) 主要諸元
●全長×全幅×全高:5235×1900×1450mm
●ホイールベース:3125mm
●車両重量:2260kg
●最小回転半径:5.6m
●エンジン型式・レイアウト:V35A-FTS・V6ツインターボ
●総排気量:3444cc
●最高出力:310kW[422ps]/6000rpm
●最大トルク:600Nm[61.2kgm]/1600〜4800rpm
●駆動方式:後輪駆動
●JC08モード燃費:10.2km/L
●燃料・タンク容量:プレミアム・82L
●タイヤサイズ:245/50RF19
●価格:1500万円(税込)
(文:九島辰也 写真:森 浩輔)