新型AMG G63のディメンションは全長4873mm×全幅2187mm×全高1966mm。スクエアなシルエットや各部の基本的な造形は先代を受け継ぎながら、ヘッドランプの意匠など細部を洗練されたデザインに変更し、「新しさ」をアピールしている。タイヤは295/40R22という大径ぶりだ。
エクステリアは先代の印象がキープされているが、インターフェイスの方はより思いきったデザイン変更が施された。大型ディスプレイをふたつ並べたような、最近のメルセデスベンツに共通するお作法もしっかり盛り込まれている。
一方で実際にインストルパネルを見ていると、Gクラスならではのタフなイメージまでしっかり感じられるから不思議だ。適度に野性的で適度に洗練されたバランスのいいアクティブさが、うまく表現されている。
ショー会場では男女を問わず、さまざまな観客が展示車両の運転席に乗り込んでいたが、共通しているのは揃って満面の笑顔になっていること。小さな子供たちまでハンドルを楽しげに握りしめている様子を見ると、独特のわかりやすい「遊び心」が持つ魅力が実感できる。
もうひとつ。新型AMG G63は「タフで優しい」という美徳が、ほんのちょっと乗り降りするだけでも強く感じられる。実はそれがもっとも明確に体感できるのが後席だ。しっかりと腰のある座り心地に加え、前方視界の良さもまた、強烈な安心感につながっている。
なによりもドアを閉めるときの音と感触が、段違いの強固さをアピールする。そうした上質感へのこだわりこそが結果的に、頼り甲斐に満ちたGクラスらしさをキープしているのだろう。
搭載される4L V8ツインターボエンジンは、430kW[585ps]というマックスパワーもさることながら、2500―3500rpmでの850Nmという爆発的な強トルクが目を惹く。刺激的な走りを楽しませてくれることは、間違いない。並のSUVでは太刀打ちできないプレステージ性とともに、ことカリスマ性という意味では他のメルセデスベンツですら一目置きそうな迫力の持ち主だった。
「最強のG」にとっては、フルモデルチェンジという進化においてさえ、迷いも揺らぎもない確固たる自信に満ち溢れている。たとえ走らなくてもそのオーラには、心揺さぶる力が確かにある。