20世紀末に世紀末に現れたR33GT-R ベースのモンスターコンプリートカーがNISMO 400R。2.8ℓ化された専用エンジンはN1マシンとほぼ同じ400psを発生し、そのパワーに合わせてボディ/シャシには抜本的に手が入れられた。車両価格は1200万円! 44台が生産・販売された究極のR33GT-Rだ。
画像: 400psのパワーを路面に伝えるワイドなタイヤを収めるためにオーバーフェンダーを装着して全幅は1830㎜に(写真は市販プロト:以下同)

400psのパワーを路面に伝えるワイドなタイヤを収めるためにオーバーフェンダーを装着して全幅は1830㎜に(写真は市販プロト:以下同)

車名の「400R」は、N1マシンのスペックと同等であることにちなんで命名された。エンジン本体は全日本GTマシンにも搭載されたRB26DETT改の2.8Lバージョン。「RB-X GT2」と名付けられ、日産工機によってボア/ストロークともにアップされて排気量は2771㏄に。これにN1用メタルタービンを使い、400ps/6800rpm、47.8kgm/4400rpmというとてつもないパワーを絞り出す。ちなみにブースト圧は1.1kg/㎠まで上げられた。

画像: ボア/ストロークともアップして2.8Lに。N1用メタルタービンを採用し、ブースト圧は1.1㎠。

ボア/ストロークともアップして2.8Lに。N1用メタルタービンを採用し、ブースト圧は1.1㎠。

出力の大幅なアップに伴い、冷却系は大容量化され、クラッチもツインプレートに変更。プロペラシャフトもスチールからカーボンに変更され、強度アップと軽量化を両立している。

足回りも大幅に手が加えられ、ビルシュタインの専用ショックアブソーバに275/35R18のポテンザを組み合わせる。ホイールも10J×18と超ワイド。400psの強大なパワー/トルクを余さず路面に伝える。

画像: パワーはもちろん、トルクもノーマル比50%アップ。まるでシルビアクラスに乗っているかのようだった。

パワーはもちろん、トルクもノーマル比50%アップ。まるでシルビアクラスに乗っているかのようだった。

走り出せば、パワーはもちろん、レスポンスの良さに驚く。とくに3000〜4000rpmの反応はノーマルの比ではなく、ターボラグはほとんど感じない。6500rpmでも弾けるような加速でタコメーターのイエローゾーンまで一気に達する。ノーマル比50%アップのトルクは、まるでシルビアクラスのクルマに載っているかのようだ。

画像: NISMOのレーシングテクノロジーがふんだんに採用された究極のコンプリートカー。1200万円の車両価格は、実は大バーゲンだ!

NISMOのレーシングテクノロジーがふんだんに採用された究極のコンプリートカー。1200万円の車両価格は、実は大バーゲンだ!

ハンドリングは実に素直で、さすがNISMOといった感じ。FR車のような素直な反応がどこまでも続き、4WDであることを意識させない。フロントにトルクが移る間もなくコーナを抜けてしまうからか?

1200万円という価格を聞くと尻込みしてしまうかも知れないが、R33を市中のショップでチューニングしたらもっとかかるはず。そして何よりワークスならではの完成度の高さとバランスの良さ。実はこれ、バーゲンプライスなのかも知れない。

(ホリデーオート1995年3月26日号より抜粋・加筆)

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