車名の「400R」は、N1マシンのスペックと同等であることにちなんで命名された。エンジン本体は全日本GTマシンにも搭載されたRB26DETT改の2.8Lバージョン。「RB-X GT2」と名付けられ、日産工機によってボア/ストロークともにアップされて排気量は2771㏄に。これにN1用メタルタービンを使い、400ps/6800rpm、47.8kgm/4400rpmというとてつもないパワーを絞り出す。ちなみにブースト圧は1.1kg/㎠まで上げられた。
出力の大幅なアップに伴い、冷却系は大容量化され、クラッチもツインプレートに変更。プロペラシャフトもスチールからカーボンに変更され、強度アップと軽量化を両立している。
足回りも大幅に手が加えられ、ビルシュタインの専用ショックアブソーバに275/35R18のポテンザを組み合わせる。ホイールも10J×18と超ワイド。400psの強大なパワー/トルクを余さず路面に伝える。
走り出せば、パワーはもちろん、レスポンスの良さに驚く。とくに3000〜4000rpmの反応はノーマルの比ではなく、ターボラグはほとんど感じない。6500rpmでも弾けるような加速でタコメーターのイエローゾーンまで一気に達する。ノーマル比50%アップのトルクは、まるでシルビアクラスのクルマに載っているかのようだ。
ハンドリングは実に素直で、さすがNISMOといった感じ。FR車のような素直な反応がどこまでも続き、4WDであることを意識させない。フロントにトルクが移る間もなくコーナを抜けてしまうからか?
1200万円という価格を聞くと尻込みしてしまうかも知れないが、R33を市中のショップでチューニングしたらもっとかかるはず。そして何よりワークスならではの完成度の高さとバランスの良さ。実はこれ、バーゲンプライスなのかも知れない。
(ホリデーオート1995年3月26日号より抜粋・加筆)