901プロジェクトを契機にニュルブルクリンクでのテストを開始
「スカイラインは、すべてにおいてオリジナリティを大切にする」。スカイラインの父である桜井眞一郎氏の愛弟子であり、R32スカイラインを開発主管として造り上げた伊藤修令氏は語気を強めた。
氏がこの会で語ってくれたテーマは、「R32スカイラインGT-Rの開発」。今なお多くのファンを有するこのモデルの取組で一貫していたのが上記のコンセプトなのだ。スカイラインは特別なものということなのだろう。

R32開発者、伊藤修令氏。現在、岡谷市にある「プリンス&スカイライン・ミュウジアム」の名誉館長を務めている。
R33スカイラインの開発主管である渡邉衡三氏のテーマは、「901活動とスカイラインへの織り込み」。
901活動とは、日産が当時掲げていたプロジェクトで、90年代に技術ナンバー1を目指すというものだ。
この活動がスカイラインの開発に与えた影響のひとつがニュルブルクリンクでのテスト。もちろん初の試みだ。アウトバーンでの走行テストと併せて、R33へのフィードバックは多大なものであったという。後々まで続くこのテストパターンのひな型はこの時に作られたのだ。

R33スカイライン主管渡邉衡三氏。現在、(公社)自動車技術会の技術中核人材育成委員会委員長として学生フォーミュラー活動に参画する大学生対象の教育活動に携わっている。
お二人と、ニュルブルクリンクのテストにドライバーとして当時参加した自動車評論家の米村太刀夫氏及び清水和夫氏を交えてのトークショーも行われた。
助手席同乗の渡邉衡三氏を死の恐怖に陥れた高速レーンチェンジテストの話など、当事者でなければ語れないディープな話 (オフレコも含め)のオンパレードは、この会ならではのものだろう。

左から、MCを務める自動車評論家の竹岡 圭氏、自動車評論家の米村太刀夫氏、伊藤修礼氏、渡邊衡三氏、自動車評論家の清水和夫氏。
しんがりは、KPGC10GT-Rのレース50勝目をもたらした名レーシングドライバー高橋国光氏。二輪時代の話から、4輪に転向してからの伝説のレーシングドライバー生沢 徹氏とのデッドヒートの話など、尽きることないエピソードはまさに日本のレーシング界を背負ってきた人ならではのもの。改めて氏の偉大さを実感させられた。
第一回の「マツダのレジェンドたちから学ぶ」に引き続き行われた今回のクルマ塾。次はどのメーカーのレジェンドが登場するのか、第三回目が今から気になってしまう。
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現在チームクニミツの総監督を務める高橋国光氏(右)。左は自動車評論家の山口京一氏。氏は、高橋氏が二輪のレーサーになるきっかけを作った人物だ。