プロの道具であり続けたジムニー
愛されて285万台! これ、初代から数えた世界累計販売台数である。1970年4月に初代が発売されたジムニーは、徹頭徹尾プロ仕様だった。「自然に挑戦する男のくるま」。林業従事者、送電事業者、山岳レスキュー、さらに山奥分け入るハンターたち…。ダイナミックな機動性、強靱な耐久力は日本やアジアはもとより、欧州でも、信頼を勝ち取っていく
2代目(1981年5月〜)、3代目(1998年10月〜)と世代交代を進める中で、走破性を磨きあげながらデザイン性や快適性を加えてユーザーの幅を拡げてきた。もっとも、そこに一貫しているのは「プロ目線」。果たして新型は、その性能をフルに引き出すコアなユーザーの信頼をえることができるかどうか。満を持して登場した4代目の基本スペックを見てみよう。
伝統のラダーフレーム
実に20年ぶりのフルモデルチェンジ。その時間は途方もなく長いけれど、それにはれっきとした理由がある。しかも、変えるべきところと変える必要ながないところに作り手の“意志”が感じられる。
まずは、伝統のラダーフレームと縦置きFRレイアウトの踏襲。頑丈なはしご型フレームはクロスメンバーやXメンバーが追加されてさらに頑丈に。ねじり剛性は先代モデルの約1.5倍に強化された。
足回りも前後3リンクリジッド。今どきリジッドなんて、と思う人は認識不足。本格ラフロードでは、ストラットやマルチリンクなどの独立懸架式ではストローク量に限界がありまったく役に立たない。プロ仕様のジムニーならではの足回りなのだ。さらに悪路走破性能を上げるため、ブレーキLSDトラクションコントロールも新装備。左右輪のどちらかが空転しても、トラクション抜けが起こらないのでパワーを有効に使えるのだ。
道具としての本質を磨き上げる一方、新たにステアリングダンパーを装着して、高速道路でのシミー(ハンドルのがたつき)や、悪路走行時のキックバックも低減。よりイージードライブが可能になった点も見逃せないポイントだ。
エンジンも全面刷新。ジムニーは従来のK6A型3気筒ターボから、最新のR06A型3気筒ターボに、ジムニーシエラは新開発の1.5ℓ4気筒NAのK15B型に変更された。重いラダーフレーム、低いギア比など燃費面では不利な要素があるにも関わらず、旧型よりも厳しくなったWLTCモード燃費でジムニーが16.22km/L(5速MT車:旧型は14.8km/L)、ジムニーシエラが15.0km/L:旧型は13.6km/L)とそれぞれ向上しているのも未逃がせないポイントだ。
さらに予防安全性能が高まったのも嬉しいポイント。上級グレードのジムニーXCとシエラJCにはデュアルセンサーブレーキサポート(いわゆる自動ブレーキシステム)が標準装備になった。同時に車線逸脱警報機能、標識認識機能も搭載している。
すでに先行受注台数が半端じゃないとウワサされる新型ジムニー&ジムニーシエラ。7月10日発売のホリデーオート8月号では、さらに詳しく解説している。