1980年代当時の「新品」ホイールは入手困難
タイヤとホイールは切っても切れないとっても深い関係。前回のインプレッションとはチョット趣向を変えて、今更ながらタイヤとホイールのハナシをしておきたい。
このADVAN HFタイプDは、ヨコハマが旧車オーナーのためにわざわざ復刻させたタイヤ。インパクトある往年のトレッドパターンを踏襲しながらも、中身は現代のテクノロジーを投入したタイヤなのは前回紹介したとおり。
当然ながら、ターゲットとなるのは1970年代から80年代くらいの、走りに振ったクルマ達。そして、そのクルマ達が履いているホイールも、また当時モノだったりするケースが多いんじゃないだろうか。
当時モノの「新品」ホイールを手に入れるのは、じつはとても難しいもの。中古で程度の良い当時モノのホイールに、アドバンHFタイプDを組み合わせようとする人たちも多いだろうし、ボクもその一人だったりする。
中古ホイールを使う場合、リムには以前履いてたタイヤのカスが張りついてたり、組み換えの時に付いたキズがあったりするもの。そんな状態のままタイヤを組むと、リムとビードが密着せずに、エア漏れの原因となってしまうことも少なくない。
それを防ぐために、タイヤを組み換えるときはリムの清掃がとても重要になってくる。今回アドバンHFタイプDを履くにあたり、組み換え作業時にリムの掃除を自分でやらせてもらった。
中古ホイールにタイヤを組む場合、まずはリムを清掃
リム清掃の作業自体そんなに難しいコトはなくて、多少使い込んだスポンジたわしを使って、ビードと接する部分を擦っていくだけ。指先に凸凹が感じなくなれば基本的にオーケーだ。
ホイール1本あたり、アウトサイドとインサイド。それが4本だから、それなりに時間がかかっちゃうけど、こういった地味な下地づくりがとても大切。お気に入りのホイールに話題のタイヤを組み合わせるんだから、この手の作業は全く苦にはならない。
さて、タイヤの性能を活かすには、ホイールのリム幅が重要になってくる。
ホイールのリムが狭いと接地面が小さくなって、本来タイヤの持っている性能を活かしきれないし、だからといって極端に幅広のリムに履く俗にいう引っ張りタイヤだと、ビード落ちの危険性も高まってくる。
ボクのCR-Xも、標準装着の純正アルミホイールではなく、当時のホンダ車定番ともいえる『無限 CF-48』に、アドバンHFタイプDを組み合わせた。
このホイールを選択したおもな理由は2つ。まずは、デザインが個性的でCR-Xとのバランスもいいと個人的には思ってること、そして純正アルミホイールのリム幅が5Jなのに、無限のホイールは6Jと1サイズ太くなっていること。
185/60R14というタイヤサイズの適正リム幅は、大体5J〜6Jになる。燃費を重視した銘柄のタイヤなら、純正アルミホイールのように5Jというリム幅のほうが、タイヤの接地面積を小さくできていいかもしれない。
だけど、このアドバンHFタイプDのような走りにこだわったタイヤだと、5Jだとチト役不足。そのために6Jという純正ホイールより1サイズ太いリム幅を持つ『無限 CF-48』をチョイスしたワケだ。
純正ホイールのリム幅が5Jなのは、当初パワーステアリングが設定されず(85年のMCで装着車が設定される)、リム幅を広げることにより若干操舵が重くなるのを避けたかったのと、タイヤチエーンを取り付けた際のクリアランスを考慮したからだったんじゃないかと推測するんだけど、真相は如何に・・・。
強いパターンにもかかわらず乗り心地はマイルド
個性的なトレッドパターンから想像するよりも、マイルドな乗り心地と、適度にスポーティなハンドリングは、日々のアシとして使うCR-Xには、とてもいい組み合わせだと思う。また、ハンドルが重くなった印象はない。
これにはワケがあって、空気圧を指定の200kpaから5%ほど高めの、210kPaにしてるからだと思ってるんだけど。
アドバンHFタイプDに組み換えた当初は220kPaにしたけど、それだとチョット跳ねるような感じで、イマイチ乗り心地が良くなくて・・・。そこから10kPa落とすだけでも結構印象が変わってビックリ。空気圧は、燃費だけじゃなくて乗り心地にも大きく影響してるってのを、実感することができた次第。
やっぱり、エア圧は小まめにチェックしたいところ。燃費といえば、以前履いてた省燃費系タイヤと比べても、そんなに悪くなってないのは、嬉しい誤算だったりする。
■文と写真:伊藤嘉啓