国産車の速度メーターはほとんど180km/hまでしか表示されていない。日本の公道でそんな速度を出すことはできないので必要ないとも言えるが、輸入車ではコンパクトカーでも200km/hオーバーを表示するモデルもある。「180km/h」という数値に意味はあるのだろうか。

国内メーカーの自主規制として始まった「180km/h」

高性能を現す指標のひとつがメーターの速度表示だ。輸入車は平凡な性能のセダンであっても、250km/hまで刻まれていることもある。これに対し日本で販売されている国産車のメーターのほとんどは180km/h止まりである。

画像: 国産車の多くは速度メーターの上限を180km/hに設定されている。

国産車の多くは速度メーターの上限を180km/hに設定されている。

ただ、過去を見てみると、1970年代前半まで200km/hを超えるメーターの国産車は少なくなかった。ハコスカと呼ばれる日産スカイラインは、たとえGT-Rでなくても240km/h表示だったし、その次世代「ケンメリ」も同様の表示だった。もちろん速度リミッターも付いていない。

しかし、高度経済成長とともに国産車は高性能になり、クルマの増加と比例するように死亡事故も増えて大きな社会問題となってしまった。そこで国産車メーカー各社は、スピードメーターの高速道路での制限速度100km/hから先をイエローで塗り、第2段階として制限速度を1割ほど超過すると警告ブザーを鳴らす対策を施したのだ。

画像: 初代スカイラインはGT-Rを含めて全車、240km/hまで刻まれていた。

初代スカイラインはGT-Rを含めて全車、240km/hまで刻まれていた。

画像: 初代スカイラインGT-R(KPGC10)。

初代スカイラインGT-R(KPGC10)。

その後、さらなるクルマの高性能化とともに表示の上限を180km/hとし、同速度で燃料をカットする対策も施されるようになった。これらすべては国産車メーカーによる自主規制であり、21世紀に入っても暗黙の了解として続いていた。

メーター表示の上限を180km/hとした理由は、さまざまある。オイルショックに始まった省エネ風潮の強まりから世間を納得させるためで、高性能をイメージさせる200km/hという表示を避けたというもの。また、その大台に挑戦しようとする輩を抑制するためだった。

しかし、それも世間から時代遅れと受け止められるようになり、180km/h表示の紳士協定を280ps自主規制とともに破棄。今では日産GT-Rを筆頭に、200km/hを超えるメーターを装着する国産車が増えてきている。ただし、速度リミッターは今も義務付けのままだ。

速度メーターの180km/h表示自主規制を破棄したと言っても、新型車のほとんどはそれ以上の速度を表示していないというのが実状だ。(文:片岡英明)

画像: 日産GT-R(R35)のGT-R NISMO。

日産GT-R(R35)のGT-R NISMO。

画像: 日産GT-R(R35)は340km/hまで刻まれている。これはGT-R NISMO。

日産GT-R(R35)は340km/hまで刻まれている。これはGT-R NISMO。

This article is a sponsored article by
''.