最新国産車のACCは135km/hまで設定できたり、上限なしもあり
速度を確認するための装置、スピードメーター。ドライバーはこれを見ながら速度をコントロールするわけだが、ここに表示される数値は、実は正確でないことを知っているだろうか。
その理由を細かく言えば、タイヤは空気圧減少や摩耗などの影響を受けて外周が短かくなり、誤差も発生する。こうした状況からスピードメーターは実際の速度よりも高めの数値が表示されてしまうのだ。しかも、速度を上げれば上げるほど、誤差の幅は大きくなるわけだ。
かといって際限なく誤差が許されているのではない。車検でその範囲は決められており、平成19年以降に製造されたクルマであれば、メーターの速度40km/hが実速30.9〜42.55km/hであれば合格となる。意外にも誤差の許容範囲は大きく、速い速度を表示することに寛容だ。
これは速度超過の取り締まりを意識したものだろう。もし、メーター表示を上回る速度が出ていたら知らずして速度違反で検挙されることになるし、なにより危険だ。
そこで今回のお題、長距離ドライブで重宝するクルーズコントロールやACC(アダプティブクルーズコントロール)の速度設定だ。これまで、大半の国産車が115km/h前後を上限としてきたが、これは前述のスピードメーターの誤差を踏まえての対応だった。
仮にACCを115km/hに設定しても、実際の速度は制限速度100km/hを大きく上回ることは少ないと判断されたのだ。ただ、この制限はあくまで国産車メーカーの自主規制であって、輸入車は対象外。欧州車は180km/h以上を設定することもできる。
そんな中、新東名と東北道の一部区間で制限速度を110km/hとする社会実験がスタート。警察庁はこの社会実験を踏まえて、制限速度を最終的にこの道路の設計速度120km/hに引き上げる計画でいるという。
この動きに合わせるように、国産自動車メーカー各社は新型車を中心としたACCの速度設定上限を135km/hに引き上げたり、輸入車と同様の「上限なし」とするモデルを登場させるようになったのだ。
ただ、覚えておいて欲しいのは、実際の速度とメーターの数値に誤差があるからといって、ACCを制限速度以上に設定することは、通行の流れを乱すなど危険だということ。もちろん、速度違反で検挙される可能性が高いということもだ。(文:会田肇)