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70年代の名車の数々がイタリア・ローマを疾走する!
今回は東京地区限定公開になるクルマ映画を紹介しよう。12月22日より東京は新宿武蔵野館で《マカロニ・エンタテインメント傑作選》と題して、非常にレアなクルマ映画が2本リバイバル上映されることになった。
12月22日から1984年に地方公開された「マッドライダー」が、12月29日からは1978年に日本公開された「フェラーリの鷹」がそのラインアップ。今やカルト的作品となった2本のカーアクション映画(「マッドライダー」は日本初の都内ロードショー、「フェラーリの鷹」は40年ぶりの劇場公開!)がHDリマスター上映される。クルマ映画好きならば、このレア作品を映画館で見逃す手はない!
というわけで、今回本稿では1978年以来40年ぶりの劇場公開となる「フェラーリの鷹」を紹介しよう。1978年といえば7月1日に「スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望」が日本初公開された年。
当時の日本はスーパーカー大人気の時代だったが、老いも若きも「スター・ウォーズ」と「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」を観るため、夏休み期間は劇場に足を向けたのではないだろうか。つまり、40年前に映画館で本作品を観たことのある人や記憶のある人は、かなりコアなクルマ映画ファンなのは間違いない。
この作品はイタリア映画“マカロニ・ウエスタン”のクルマ版ともいえるカーアクションで、ストーリーは実にシンプル。ローマに現れた銀行強盗団。チューンアップしたアルファロメオの警察車輛で、元レーサーのジャン率いる強盗団の駆るシトロエンDSを追う警官・パルマは強盗団を逃がすばかりか、同僚のニッサルドが殉職してしまう。
警察を辞めようと考えるパルマに上司・タリアフェリはフェラーリ250GTE 2+2を預け、完璧なドライビング・テクニックを習得するように命令。その後パルマは銀行強盗団に潜入捜査官として仲間入り、さらなる銀行強盗の計画を阻止するためにパルマはジャンと激しいカーチェイスを繰り広げることに。果たしてフェラーリ250GTEとシトロエンDSとのデッドヒートの結末は、いかに?
マカロニ・ウエスタンのクルマ版映画と称するゆえ、西部劇のガンマン同士の銃撃戦がドライバー同士のテクニック合戦として観ると、このうえなく楽しい1本。クルマ好きポイントとしては、とにかく当時のイタリア&フランス車が大挙して登場すること。
主人公パルマが駆るフェラーリ250GTE vs 強盗団首領・ジャンの駆るシトロエンDSの対決が見どころなのはもちろん、アルファロメオ1750ジュリア ベルリーナの警察車輛や、フォード・カプリ1600XLR、アウトビアンキA112、フィアット500R、ランチア・ベータ モンテカルロ、ルノー5などなど。
細かくチェックしていけば、まだまだいろいろな車種が登場している。当時のローマで走っていたであろうクルマたちを映画公開から40年経った今の時代に見られるだけでも、貴重で楽しい時間を過ごすことができるのではないだろうか。
デジタル全盛で今やどんな映画にもCGが使用される時代。そこには特殊効果の味付けの意味合いもあるが、すべて生身、アイディアと実践でアナログに作ることの意味がこうした作品にはある。CG皆無の時代だからこその本物のカーアクションを堪能できる1本。技術の進歩革新とともに、こうした映画を現代に掘り起こしてくれる人たちにも感謝したいものだ。(文:永田よしのり)
12月29日公開
上映時間:101分
監督:スティルヴィオ・マッシ
出演:マウリツィオ・メルリ、アンジェロ・インファンティほか
配給:エデン