保守的に思えるトヨタだが、じつはトヨタの歴史はチャレンジの歴史でもあった。時代の先を行き過ぎたクルマから、一体どうした? と首をかしげたくなるクルマまで、トヨタのチャレンジを改めて俯瞰してみる。第11回は、異業種コラボの第3弾にして最終モデルとなった「WiLL サイファ」だ。
WiLLプロジェクトの最終モデル
WiLLプロジェクトの第3弾は、2002年10月に発表された5ドア ハッチバックの「サイファ」だ。サイファ(Cypha)という車名は、英語のサイバー(Cyber)と馬車(Phaeton:フェートン)との造成語であるといわれている。
サイファはViと同様、ヴィッツ系のプラットフォームから生まれた。ユニークな内外装デザインのコンセプトは「ディスプレイ一体型ヘルメット」や「サイバーカプセル」と言われた。
時代を先取りしたディスプレイ一体型のデザインに、「トヨタ G-BOOK」対応カーナビを初めて搭載し、今日のカーコネクティッドにつながる先進技術を搭載した実験車的役割も与えられていた。
パワーユニットは、FFが1.3Lの2NZ-FE、4WDは1.5Lの1NZ-FEで、いずれもトランスミッションは4速ATだった。
2005年2月、ヴィッツが2代目にフルモデルチェンジされ、WiLLプロジェクトの終了と同時に販売を終了した。
WiLL サイファ 1.3L(2WD) 主要諸元
●全長×全幅×全高:3695×1675×1535mm
●ホイールベース:2370mm
●重量:990kg
●エンジン型式・種類:2NZ-FE・直4DOHC
●排気量:1298cc
●最高出力:87ps/6000rpm
●最大トルク:12.3kgm/4400rpm
●10・15モード燃費:18.0km/L
●燃料・タンク容量:レギュラー・45L
●トランスミッション:4速AT
●タイヤサイズ:175/65R14S
●価格(当時):126万円