日本車として初めてWRCのタイトルを獲得したST165型トヨタ セリカ GT-FOURをご存知だろうか、メガウェブ ヒストリーガレージでその栄光に触れた。(Motor Magazine 2019年3月号より)

1990年代のWRC日本車黄金時代の幕開けを告げる

グループBのセリカ ツインカムターボで「ラリー=セリカ」を広く世界にアピールすることに成功したトヨタだったが、WRCは1987年、市販車に近いグループAに移行する。そこでトヨタも1988年からグループAマシンのセリカGT-FOURで参戦したが、この年は勝利をあげることはできず、翌1989年もオーストラリアでの1勝のみに終わる。

連戦連勝のライバル、ランチア デルタの牙城を崩したのは挑戦3年目の1990年のことだった。1989年からトヨタに加わったカルロス・サインツが大活躍したのである。サファリをビヨルン・ワルデガルドが制し、サインツがアクロポリス、ニュージーランド、1000湖、RACとランチアとの激闘を制して4勝。サインツは4勝のほかにも2位の座をを4度手にした。

その結果、カルロス・サインツがついに年間チャンピオンに輝いた。日本車で初となるドライバーズ選手権獲得だった。また、マニュファクチャラーズでもトヨタはトップのランチアに6ポイント差に迫った。

しかし、ランチアも底力を見せる。迎えた翌1991年、トヨタは緒戦のモンテカルロを皮切りに前半7戦で5勝を挙げ、もはやダブルタイトル獲得確実かと思われたが、後半崩れて2位にとどまることになってしまう。

WRCに投入されたセリカGT-FOURのベースとなったのは、4代目に設定された市販型の「セリカGT-FOUR」。これはグループAホモロゲーション取得用に開発されたモデルで、16バルブ2Lエンジンを搭載した2000GT/GT-Rを改良、ターボを装着して出力を高め、駆動方式にトヨタ初となるフルタイム4WDを導入した限定車だった。

メガウェブ ヒストリーガレージには、ビヨルン・ワルデガルドがサファリラリーを制した1990年のマシンが展示されている。

トヨタ セリカ GT-FOUR 主要諸元 1990年式 (ST165型)/サファリラリー優勝車

●全長×全幅×全高=4365×1710×1300mm
●ホイールベース=2525mm
●車両重量1100kg以上
●エンジン=直4DOHCターボ
●排気量=1988cc(3S-GTE改)
●最高出力=295ps/6000rpm ●駆動方式=4WD

メガウェブ ヒストリーガレージ

東京・青海、トヨタのテーマパーク・メガウェブの隣のヴィーナスフォート内にある展示スペース。トヨタをはじめとする世界のヒストリックカーが展示されていて、“クルマの歴史”を見ることができる。モータースポーツの歴史に関するコーナーもあり、自動車の再生工房「レストアピット」では名車の復元作業も見学可能。ノスタルジックな街並には、展示車だけでなく、ミニカーショップ、カフェなどもがあり、ゆっくりと雰囲気を楽める。 1Fのカフェバーに隣接するショップ「グリースGPS」では、レースなどモータースポーツで活躍したクルマのミニカーを販売。2Fの奥、非売品だがやはりモデルカーや書籍が並ぶ「コリドー」も見応えがある。

●住所:東京都江東区青海1丁目3-12
●入館料:無料 ●休館日:不定休/時間:11:00〜21:00(施設により異なる)
●駐車場:なし(ヴィーナスフォートパーキングをご利用ください) 
●問い合わせ先:☎03-3599-0808
●クルマでのアクセス:首都高速湾岸線 臨海副都心出口/有明出口より約5分/首都高速11号台場線下り台場出口より約5分
●公共交通機関でのアクセス:りんかい線「東京テレポート」駅より徒歩約3分/新交通ゆりかもめ「青海」駅直結、「お台場海浜公園」駅より徒歩約7分

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