今年の新しいF1のレギュレーションに、新規格(FIA8860-2018)に合致したヘルメットの着用という項目がある。その規格とはどういうものなのか。これによりF1はどう変わるのだろうか。
開口部がより小さくなり、バイザーも強固に
昨年から導入されF1で物議を醸したハロは、フォーミュラにとっての有効な安全デバイスと高く評価されている。フォーミュラEやF2、F3など他のカテゴリーでも次々と採用され、いまや新時代のフォーミュラカーのスタンダードとなっている。しかし、完全なシールド型ではないため前方のマシンや路面から跳ねあげられて飛んでくる“異物”を完全には避けることはできない。
そこでFIA(国際自動車連盟)は、さらに安全性を高めるために今年から新しい規格のヘルメットの使用をF1ドライバーに義務づけることになった。
2月下旬からバルセロナでスタートしたF1のオフシーズンテストでデビューしたこの新規格ヘルメットは、バイザーの開口部がこれまでより10mm狭くなり、バイザーへの軍用の弾道試験、金属板や重りなどの衝突試験、より厳しい条件(790℃)の耐火テストをクリアしたものだ。
とくに開口部まわりの安全性の向上が図られたのは、2009年のハンガリーGPでのフェリペ・マッサ(当時フェラーリ)のようなアクシデント(前走車から脱落したスプリングがヘルメットを直撃して重傷を負った)を繰り返さないためだ。
開幕前の合同テストではまだ一部準備が整っていないところもあったが、開幕戦のオーストラリアGPまでには全ドライバーがこのヘルメットを使って走ることになる。
開口部が狭くなった2019年のヘルメット(写真はハースのケビン・マグヌッセン用)。