あの“コブラ”のハイパワーユニットをマスタングに搭載
1964年にデビューした初代フォード・マスタングは、T型フォード以来の大ヒットカーと言われたほど人気を集めた。そんなマスタングに目をつけたのが、キャロル・シェルビーだった。
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流麗なファストバックの初代マスタングは、日本でも人気を集めた。
大戦後、ヨーロッパのレースで成功した数少ないアメリカ人レーシングドライバーのひとりだったシェルビーは、英国の古い小スポーツメーカーだったACとコラボし、フォード製の4.8L V8を搭載したマッチョなスポーツカー“コブラ”を生み出し、人気を集めた。
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リアバンパー上のコブラ・マークはフュエルキャップも兼ねている。
このコブラの成功を機に、フォードは「シェルビー」を高性能イメージのシンボルとして、マスタングのサブブランドに採用した。だが正式名称は「シェルビー GT350」と、マスタングは付かない。
289キュービックインチ(4728cc)のV8 OHVユニットはアルミ合金製のインテークマニフォールドにホーリー製の巨大な4バレル型キャブレターを装着し、306psと45.5kgmを発生した。
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289キュービックインチ(4728cc)のV8 OHVはホーリー製4バレルキャブを装着し、306ps/45.5kgmを発生。
1970年までに、このマッチョなマスタングは1万台5000台近くが製作されたが、そのほとんどがここで紹介しているファストバックモデルで、特注としてコンバーチブルモデルが1500台あまり製造された。
ファストバックではリアクオーターにプラスティック製のウインドーが付けられ、ノーマルではドラムだったリアブレーキはディスクに換えられ、フェンダーには冷却用のエアインテークが備わる。そしてボンネットにも4バレルキャブ用のエアインテークが設けられていた。
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ステアリングはモトリタ製のウッド。ダッシュボート上にスパイラル針付きのタコメーターが備わる。
低く、豪快な排気音をまき散らして加速する様子は、コブラを彷彿とさせるもの。まさにアメリカン・ドリームの象徴的なマシンだった。
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シートバックはリクラインしない。シートベルトは2点式。リアシートは折りたたむとフラットなラゲッジスペースになる。
シェルビー GT350(1966年) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4610×1800×1330mm
●ホイールベース:2743mm
●重量:1330kg
●エンジン種類:90度V8 OHV
●排気量:4728cc
●最高出力:306ps/6000rpm
●最大トルク:45.5kgm/4200rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:225/50VR15