エクステリアもスポーティに。パワーも装備も不満なし
6代目にあたる新型ポロが日本に導入されたのは2018年3月。その年の7月にはGTIも発売され、いまやCセグメントのベンチマークになったゴルフ同様、Bセグメントのベンチマークとしての地位を盤石なものに固めつつある。
2019年1月、そんなポロに新グレード「TSI R-ライン」が加わった。最大の特徴は、日本初採用の新エンジン“1.5TSI Evo”を搭載したこと。
ハイラインなど普通のポロのエンジンは1Lの直3ターボだが、ボアはそのままに1気筒増やしてストロークを9.5mm伸ばした1.5Lの直4ターボエンジンで、気筒休止機能やコモンレール直噴技術も採用している。パワースペックは150ps/250Nmと、普通のポロより55psと75Nmもアップしている。
エクステリアは、前後バンパーやリアスポイラーにサイドスカートなどRーライン パッケージを日本向けポロに初採用。45偏平の17インチタイヤとアルミホイールも装着している。
インテリアは基本的にハイラインに準じており、有償オプションカラーのブルーとオレンジを選ぶと、ダッシュパッドなどがボディカラーと同色になり、シート地にも同色のラインが入る。もちろん普通のポロ同様、安全運転支援装備などは充実している。
日本では今のところ、普通のポロの5割、GTIでも2割が女性ユーザーだという。確かにGTIは別として、ノーマルのポロの見た目は女性受けする少し優しい印象を受ける。だがRーラインは専用パーツや大径ホイールのおかげで、ちょっと強そうなイメージ。これなら男性が乗っても良いんじゃない?という雰囲気だ。
普通のポロの1L 3気筒でも、さして走りに不満はなかったが、やはり1.5L 4気筒は余裕の走りを感じさせる。例によってVWのTSIエンジンはターボラグなしに発進からスッと加速して伸びやかだ。直噴独特のエンジン音はあるものの、けっしてノイジーではない。
ドライブモードはECO/NORMAL/SPORT/CUSTOM(自分で設定する)が選べ、エンジンやシフトのマネージメントだけでなくSPORTではダンパーの減衰力も高まる。45タイヤが標準だし、NORMALでも足回りはけっこうしっかりしていてハンドリングも悪くないから、ワインディングでも走らない限りSPORTに入れなくても良いのでは?と思える。
普通のポロはECOで市街地を走ると発進時にタルさを感じられたが、Rーラインでは発進直後の低速域からトルクたっぷり。高速走行はもちろん、市街地走行レベルでも低速走行時は気筒休止で2気筒に、スロットルを戻せばコースティング状態に入り省燃費走行を行う。
NORMALでは気筒休止はするがコースティング状態には入らない。どちらも頻繁にアイドリングストップはするし市街地での走りっぷりに大きな違いはないが、ECOではエアコンが省エネモードで作動するので、少し気温が高いときの市街地走行ではエアコンの効きが悪く感じるかもしれない。
CUSTOMでは各機能を細かく設定できるから、自分のクルマにしたら使い方に合わせたセッティングに仕上げていくと良いだろう。
7速で走行時のエンジン回転数は、100km/hで2000rpm弱、80km/hで1500rpm。アダプティブクルーズコントロールも標準装備だから、高速クルーズはきわめて快適だ。
今回、230kmほど走行し(市街地と高速がほぼ半々)で、車載燃費計による平均燃費は15.5km/L。もちろんエアコンは入れっぱなしでエコランもしていないから、パフォーマンスを考えれば、まずまずといったところか。
思えば、先代のポロにも「ブルーGT」という、動力性能と低燃費を両立したモデルがあった。このRーラインは、その後継にあたるモデルといえるだろう。
普通のポロだと少し物足りないけれど、GTIまでのハイパフォーマンスは要らない。ハイラインより約30万円高いけれどGTIより約50万円安い。予算と自分の好みで選べるポロのバリエーションが広がったことは、ファンにとってはうれしい話だろう。(文:篠原政明/写真:永元秀和ほか)
ポロTSI R-ライン 主要諸元
●全長×全幅×全高:4075×1750×1450mm
●ホイールベース:2550mm
●重量:1210kg
●エンジン種類:直4 DOHC+ターボ
●排気量:1497cc
●最高出力:150ps/5000-6000rpm
●最大トルク:250Nm/1500-3500rpm
●JC08モード燃費:17.8km/L
●トランスミッション:7速DCT
●タイヤサイズ:215/45R17
●価格:298万円(税込み)