ゴールデンウイークの短期集中連載企画として、日本のスーパーカーブームを築いた1970年代のスーパーカーを紹介していきたい。第2回は、カウンタックの最大のライバル「フェラーリ 365GT4 BB」だ。(ホリデーオート2018年11月号別冊付録より)

新型12気筒エンジンをミッドシップ搭載したフェラーリのフラッグシップ

「FERRARI 365GT4 BB:フェラーリ 365GT4 BB」

画像: ピニンファリーナの手になるウエッジシェイプの美しいスタイリング

ピニンファリーナの手になるウエッジシェイプの美しいスタイリング

レーシングプロトやディノでミッドシップカーの製作に習熟したフェラーリが、高性能というだけでなく、超高級ミッドシップスポーツ製作への第一歩を踏み出した最初の作品が、この365GT4 BBだ。
車名はフェラーリの慣例に従い、365は1気筒あたりの排気量(cc)、4はカムシャフトの数を、最後のBBはベルリネッタ(2ドアクーペ)ボクサー(水平対向エンジン)の頭文字だ。

ワールドプレミアは1971年のトリノショー。ピニンファリーナのブースに展示された2座クーペは、F1直系の新型12気筒ボクサーエンジンをミッドにマウントしていたことで大評判となる。73年に生産を開始。

エアコンやパワーウインドー、ラジオなどを標準装備した上、乗り心地にも配慮していた点で、乗員に少なからず我慢を強いてきた、それまでの高性能スポーツカーとは一線を画していた。

画像: リアセクションはエンジン上だけでなく、フェンダーまで一体でガバリと大きく開く

リアセクションはエンジン上だけでなく、フェンダーまで一体でガバリと大きく開く

365GT4 BBの骨格は、縦方向に置いた2本のメイン鋼管をクロスメンバーでつなぎ、サブフレームでエンジンとサスペンションを支持する鋼管フレーム式で、ティーポF102 ABと呼ばれるもの。ホイールベースは2500mmだ。

新機軸的な特徴としては、コクピットを構成する鋼板を構造部材の一部として使い、モノコックに近い強固なセンターセルを形成していたことが挙げられる。

これに、ドアとフロントリッド及びリアエンジンフードがアルミ製、ノーズ下側とテールセクションがグラスファイバー製のボディを架装して、車両重量を1160kgに収めることに成功している。

画像: 丸型テールランプなど、ディテールは512BBにそのまま引き継がれる。

丸型テールランプなど、ディテールは512BBにそのまま引き継がれる。

サスペンションは前後ダブルウイッシュボーンだが、リアは左右輪にコイル/ダンパーユニットをそれぞれ2セット装着して強大なパワーの吸収に備えた。

注目のエンジンはフェラーリのロードバージョン初の水平対向12気筒(フェラーリは180度V12と呼ぶ)を採用。ベルト駆動のDOHCで、8.8:1の圧縮比と各バンク2基ずつ、計4基のウエーバー40IF3Cトリプルチョークキャブレターにより380psを発生し、公称最高速度は302km/hを謳った。

画像: 精緻な作りこみがフェラーリの歴史を物語る。中央右の回転計は7000rpmからレッドゾーン、左の速度計は300km/hスケール。

精緻な作りこみがフェラーリの歴史を物語る。中央右の回転計は7000rpmからレッドゾーン、左の速度計は300km/hスケール。

特徴的なのは搭載方法で、ミッドに縦置きされるエンジンのクランクケース下にトランスミッションを一体化した2階建て方式を採用したこと。そのため水平対向の割にエンジン重心は高くなるが全長を短くすることができ、機敏なハンドリングの実現に貢献している。

車名の一部である“BB”の愛称で親しまれた新世代の高性能プレステージスポーツ365GT4 BBは、1976年に512BBへ、そして81年には512BBiへと進化し、84年にテスタロッサにフラッグシップの座を譲るまで、合わせて2323台が生産された。

画像: 365GT4 BBは512BBから512BBiへと進化する。写真は512BBiのエンジン。排気量は4943ccに拡大され、燃料供給装置はインジェクション式となった。

365GT4 BBは512BBから512BBiへと進化する。写真は512BBiのエンジン。排気量は4943ccに拡大され、燃料供給装置はインジェクション式となった。

フェラーリ 365GT4 BB 主要諸元

●全長×全幅×全高:4360×1800×1120mm
●ホイールベース:2500mm
●重量:1120kg
●エンジン:180度V12 DOHC
●排気量:4390cc
●最高出力:380ps/7200rpm
●最大トルク:44.0kgm/3900rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:リア縦置きミッドシップRWD

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